まなびしごとLABの風間です。
こんにちは!

2026年10月9日(金)、連載「『サード・ラーニング』のすすめ」第19回: 「変化の「価値」をどう測るか ~ 地域教育とお金の問題を考える③ ~」をnote上で公開しました。

今年から始めた連載企画の第19回です。

noteで公開中ですが、こちらにも転載していきます。

(noteへのリンク)
【連載】「サード・ラーニング」のすすめ|風間崇志/地域プロジェクトパートナー|note

1 はじめに

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前回は、コーディネーターという仕事の「価値」をどう伝えるかが大事ではないかという話をしました。

連載「サード・ラーニング」のすすめ 第18回:「コーディネートの『価値』をどう伝えるか ~ 地域教育とお金の問題を考える② ~」

「人をつないだ」「打ち合わせをした」「プロジェクトをつくった」という、やったことだけを説明するのではなく、

「その結果、何が起きたのか」
「誰に、どんな変化が生まれたのか」

まで伝えることが大切なのではないかということを述べてきました。

ここで次の問いが出てきます。

「実際に何が、どのくらい変わったのか?」

例えば、

  • 高校生が地域に興味を持った
  • 企業の社員が新しい視点を得た
  • 学校と企業の関係ができた
  • 新しいプロジェクトが生まれた

こうしたことは、確かに価値のある変化です。
でも、「本当にそうだったの?」「その証拠は?」と聞かれたら、どうでしょうか。
私たちはその変化をどうやって確かめればいいのでしょうか。

そこで出てくるのが、「測る」ということです。

ただ、ここで少し難しい問題があります。

例えば、「参加者が100人いた」「満足度が90%だった」「企業5社が参加した」という数字は誰が見ても明らかで、とても分かりやすいです。

一方で、「自分に自信がついた」「地域を見る目が変わった」「興味・関心が深まった」といった変化はとても大切ですが、数字では表しにくい類のものです。

そして、もう一つ大事なことは、何のために測るかという目的です。

地域教育のプロジェクトは、誰かから「何点だった」と評価してもらうためにやるものではありませんし、賞をもらうためにやるわけではありません。

もちろん、事業として取り組む以上は、取り組んだ結果としてどんな成果があったのかを説明することは非常に重要なことです。

でも、測ることの目的を「評価」に置いたり、その結果の伝え方を間違えてしまうと、「評価されるためにやる」「数字になることをやる」という方向に陥ってしまうおそれがあるのです。

地域教育の価値は、数字だけでは測れない。
でも、数字にできないから、測らなくていいわけでもない。
この間をどう考えるか。

そして、そもそも「何を測ればいいのか」。

私は、それを考えることもコーディネーターの大切な仕事の一つなのではないかと思うようになりました。

なぜなら、何が変わったのかが分からなければ、次に何を変えればいいのかも分からないからです。

「やって終わり」ではなく、やってみて、変化を見て、振り返って、また次のプロジェクトをつくる。

今回は、そのための「測る」ということについて考えてみたいと思います。

2 そもそも、なぜ「測る」のか

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では、地域教育のプロジェクトでは、何を測ればいいのでしょうか。

……と考える前に、もう一つ考えておきたいことがあります。

「そもそも、何のために測るのでしょうか?」

地域教育のプロジェクトの成果を測る目的です。

例えば、高校生と地域の企業が一緒にプロジェクトに取り組むとします。

その目的が、「高校生に地域の企業を知ってもらいたい」のであれば、プロジェクトを通して、どれくらい地域の企業について知ることができたのかを見ることになります。

また、「高校生が、自分のアイデアを形にしていく経験をしてほしい」という目的なら、企業を知ったかどうかを測るのでは十分ではありません。

自分で考えたか、誰に相談したか、実際に行動してみたか、やってみてどうだったのかなども見ていく必要があります。

さらに、「学校と地域の企業が、継続的に関わる関係をつくりたい」のであれば、プロジェクトの終了後に、次の活動が生まれたかどうかを見ることも必要になります。

つまり、「何を測るか」は最初から決まっているものではありません。

どんな目的でこのプロジェクトを行うのか、そして、そのプロジェクトを通じて誰にどんな変化が起きてほしいのか。

という目的をまずは明らかにする必要があります。

そこで初めて、「では、その変化が起きたかどうかを、何を見れば分かるのか?」という問いが出てくるのです。

これは、地域教育に限った話ではありません。

例えば、「地域を好きになってほしい」という目的なのに、イベントの参加人数だけを「成果」として見ていても、本当に目的が達成されたのかは分かりません。

参加人数よりも、その後に実際に行動した人がいるかの方が大切かもしれません。

もちろん、参加人数や実施回数、参加企業数などの数字も大切です。
活動がどれくらい広がったのかを伝えるには、数字はとても分かりやすいからです。

でも、数字を集めることが目的になってしまうと本末転倒です。

大切なのは、「何人参加したか」ではなく、「その人たちに、どんな変化があったのか」だからです。

だからこそ、プロジェクトをつくるときには、活動を始める前から「何のためにやるのか」、そしてそのために「何を測るか」を考えておくことが大切なのです。

3 何を「成果」とするか

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では、実際に「何を測るか」を考えてみましょう。

ここで大切なのは、何を「成果」と考えるかです。

結論からいえば、私は、プロジェクトの成果には、大きく2つあるのではないかと思っています。

一つ目は、活動の結果としての成果です。

例えば、

「高校生30人が参加した」
「地域の企業5社が参加した」
「3回のワークショップを実施した」
「10個のアイデアが生まれた」

といったもので、比較的数字で表しやすい成果です。

こうした数字があれば、プロジェクトで何をやったのかを、分かりやすく伝えることができるので、もちろん大切な成果だと思います。

ただ、地域教育のプロジェクトでは、もう一つの大切な成果もあると考えています。

それが、プロセスの中で生まれる変化としての成果です。

例えば、

「高校生が地域の企業に興味を持つようになった」
「自分の考えを人に伝えられるようになった」
「企業の社員が高校生の視点から新しい気づきを得た」
「学校と企業の間に新しい関係が生まれた」
「一緒に何かやってみたいと思える仲間ができた」

といったもので、数字で表すことが非常に難しいものです。

これらはプロジェクトを進めていくプロセスの中で、少しずつ生まれてくるものであり、なかなか当事者である自分でも気づきにくいことがあります。

例えば、地域活性化を目的としたプロジェクトで、「参加した高校生30人のうち、80%が地域への関心が高まったと回答した」という結果が出たとします。

これは、とても分かりやすい成果です。

でも、一方で、地域への関心が高まった高校生が、それぞれどんなことに関心を持ったのか、何がきっかけでそうなったのか、その結果どんな行動の変化があったのか、などの変化についてはここからは読み取ることができません。

「今まで地域のことをあまり考えたことがなかったけれど、実際に地域の企業の社員と話してみて、自分の住んでいる地域にも面白い仕事があることを知った」という高校生の言葉が加われば、数字だけでは見えなかったものが見えてくるかもしれません。

あるいは、関わった企業の社員から、「高校生に説明するために、自分たちの仕事をあらためて考える機会になった」という声が出てくるかもしれません。

さらに、プロジェクト終了後に、「今度は一緒に別の活動をやってみよう」という次の行動につながるかもしれません。

つまり、プロジェクトの成果を見るときには、活動の結果として、何が行われ、何ができたのかというだけでなく、そのプロセスを通じてどんな変化や学びや関係性が生まれたのかを見る必要があるのです。

そして、もう一つ大事なことは、「測ること自体を目的にしない」ということ。

測ることを重視しすぎてしまうと、いつの間にか数字になることをやることが目的になってしまい、それがひいては数字によって評価されることが目的になってしまうおそれがあるからです。

何度も繰り返しになってしまいますが、数字で表しやすいことを測ることも、プロジェクトや事業の継続のために分かりやすく成果を伝えるためには必要なことだと思います。

一方で、数字には表れない変化も生まれている可能性があることも、忘れないようにしたいと思います。

4 成果をどうやって測るのか

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では、プロジェクトの成果を、具体的にどうやって測ればいいのでしょうか。

私は、大きく3つの方法があると考えています。

一つ目は、アンケートや数字で測ることです。

参加人数や実施回数といった数字はもちろん、参加者の満足度や、活動の前後で意識がどう変わったかなども、アンケートを通して確かめることができます。

客観的なデータとして成果を説明できるため、非常に分かりやすいという特徴があります。
成果を記録したり、伝えたりするときには欠かすことができないものです。

二つ目は、プロジェクトを実施した当事者が、自分自身の行動や変化を振り返る内省です。

プロジェクトに参加して、何を感じたのか。何を学んだのか。自分の考えや行動に、どんな変化があったのか。
こうしたことを、自分の言葉で振り返ってみるのです。

授業などでプロジェクトをすると、活動を実施して終了、あるいは発表会で報告して終了となってしまい、実施後との振り返りの時間がなかなかとれないことがあります。

これに関しては、私自身も過去に失敗してしまい、活動発表の後に十分な振り返りの時間が確保できなかったため、「やって終わり」になってしまったことがありました。

でも、経験したことを振り返る時間がなければ、せっかくの学びに気づかないまま終わってしまうこともあるのです。

そのため、活動の終了がプロジェクトの終わりではなく、実施後の振り返りを必ず最後に行い、自分の中で学んだことや変化したことなどを自覚する、言語化することが重要であると考えています。

そして、三つ目が、他者からのフィードバックを受けることです。

実は、これがとても大切なのではないかと思っています。

なぜなら、内面の変化は自分自身ではなかなか気づきにくいものですが、周りにいた人には見えている変化があることもあるからです。

以前、高校生が中心となって地域でイベントを主催したプロジェクトで、こんなことがありました。

その生徒は、当初、同じ高校生であっても他校の生徒になかなか自分から話しかけることができず、教員の陰に隠れてしまいそうになっていました。

ところが、プロジェクトを進めていく中で地域のいろいろな人たちと関わるようになり、イベント終了後に参加した発表会では、初めて会う大学の教員に自分から質問をしにいく姿が見られたのです。

ただ、それを本人はまったく自覚しておらず、プロジェクトを見守ってきた教員から「自分から話しかけることが難しかったのに、初対面の人に自分から質問できるようになっていて驚いた」という一言を受けて、本人も初めて、自分の変化に気づくに至ったのでした。

これは、アンケートの数字だけでは見つけにくい成果です。本人が一人で振り返っているだけでも、気づけなかったかもしれません。

他者からのフィードバックによって、自分の行動の変化に気づくことができたのです。

5 おわりに

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今回は、地域教育のプロジェクトの成果を、どう捉え、どう測るのかについて考えてきました。

プロジェクトの成果には、活動の結果としての成果と、プロセスの中で生まれる成果があります。

何人が参加したのか。何ができたのか。こうした数字で分かりやすく伝えられる成果もあれば、参加した人の意識や行動の変化、新しい学びや関係性など、数字だけでは捉えにくい成果もあります。

だからこそ、アンケートや数字で測ること、自分自身で振り返ること、そして他者からのフィードバックを受けること。それぞれを組み合わせながら、プロジェクトの中で何が起きたのかを見つけていくことが大切です。

特に、他者からのフィードバックには、自分では気づいていなかった変化を教えてもらえるという価値があります。

先ほど紹介した高校生も、自分では意識していなかった行動の変化を、教員の言葉によって知ることができました。

それは、単にプロジェクトの成果を確認したというだけではありません。
本人が自分自身の成長に気づく、新たな学びの機会にもなったのです。

プロジェクトを通して何が起きたのかを知り、そこから学び、次の取り組みをより良いものにしていく。
つまり、成果を測ることは、プロジェクトを締めくくる行為でもあり、次のプロジェクトの始まりのきっかけになる行為にもなりうるのだといえます。

やってみる。
振り返る。
気づく。
次の問いが生まれる。
そして、またやってみる。

この繰り返しによって、プロジェクトは少しずつ変わっていき、本人にも周りにも少しずつ変化が生まれていきます。

そのためにも、コーディネーターには、プロジェクトを動かす力だけでなく、そこで何が生まれたのかを見つけ、関係者と一緒に振り返り、次の一歩につなげていく力が求められます。

プロジェクトをつくって終わりではなく、プロジェクトから生まれた変化を、次のプロジェクトにつなげていくことも、コーディネーターの醍醐味ではないかと思います。

そうした積み重ねがいずれ、地域で人が育ち、新しい取り組みが生まれ続ける仕組みにつながっていくのではないでしょうか。

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これまでの連載

第18回
連載「サード・ラーニング」のすすめ 第18回:「コーディネートの『価値』をどう伝えるか ~ 地域教育とお金の問題を考える② ~」

第17回
連載「サード・ラーニング」のすすめ 第17回: 「コーディネーターを『ちゃんと仕事にする』には ~ 地域教育とお金の問題を考える① ~」

第16回
連載「サード・ラーニング」のすすめ 第16回: 地域に大学があるということ  ~ 地域そのものを学びの場にするという発想 ~

第15回
連載「『サード・ラーニング』のすすめ」第15回:コーディネーターという「専門職」について ~学びの未来をともにつくる『第3の当事者』~

第14回
連載「『サード・ラーニング』のすすめ」第14回:「学びを共創するコーディネーター ~ なぜ学校・地域・企業をつなぐ『第3の当事者』が必要なのか ~」

第13回
連載「サード・ラーニングのすすめ」:第13回「地域と学校の協働を生み出すための処方箋とは ~ 子どもの居場所づくり共有会の事例から ~」

第12回
連載「サード・ラーニングのすすめ」:第12回 「お願いする」から「協働する」関係へ(地域編)~ 地域学校協働本部が生み出す双方向の学びの実現に向けて ~

第11回
【連載】「サード・ラーニング」のすすめ:第11回 「開かれた学校」のその先へ(学校編) ― 地域とともにつくる「これからの学び舎」のカタチ ―

第10回
【連載】「サード・ラーニング」のすすめ(実践編):第10回 「完売御礼」に学びはあるか  ― 起業体験がただの「商売ごっこ」に終わるとき ―

第9回
【連載】「サード・ラーニング」のすすめ:第9回 自分で決める力を育てる教育としての「アントレプレナーシップ教育」  — 育てたいのは「起業家」なのか —

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【連載】「サード・ラーニング」のすすめ:第8回 プロジェクトの後に何が残るのか? ——「やりっぱなし」のPBLから脱却するために

第7回
【連載】「サード・ラーニング」のすすめ:第7回 プロジェクトは教科書を超えるのか? ~経験からの学び~

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【連載】「サード・ラーニング」のすすめ:第6回 伴走者を超えて「共に創る」  ~ 「第2回弥生祭」での実践から ~

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【連載】「サード・ラーニング」のすすめ:第5回「社会」が求める探究と「自分」のための探究 ~ 私たちにとって「探究」とは何か ~

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【連載】「サード・ラーニング」のすすめ:第4回 「いきあたりばっちり」を育む学びの土壌とは? 〜 キタサカまちづくり部を例に 〜(実践編02)

第3回
【連載】「サード・ラーニング」のすすめ:第3回 学びの「地図」をアップデートする ~ 「学び」の変遷からサード・ラーニングのヒントを探る ~

第2回
【連載】「サード・ラーニング」のすすめ:第2回 共創による学びを俯瞰する ~ 地域連携プロジェクトから紐解く「学びの生態系」のヒント ~

第1回
「【連載】「サード・ラーニング」のすすめ」をスタートしました(2026年1月15日)

番外編
【連載:番外編】「サード・ラー二ング」のすすめ:参考書籍①『学びのコミュニティづくり』|風間崇志/地域プロジェクトパートナー

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