まなびしごとLABの風間です。
こんにちは!
2026年6月26日(金)、連載「『サード・ラーニング』のすすめ」の第12回「「お願いする」から「協働する」関係へ(地域編)~ 地域学校協働本部が生み出す双方向の学び ~」をnote上で公開しました。
今年から始めた連載企画の第12回です。
noteで公開中ですが、こちらにも転載していきます。
(noteへのリンク)
【連載】「サード・ラーニング」のすすめ|風間崇志/地域プロジェクトパートナー|note
はじめに

前回の連載では、コミュニティ・スクール(学校運営協議会)について取り上げてきました。
【連載】「サード・ラーニング」のすすめ:第11回 「開かれた学校」のその先へ(学校編) ― 地域とともにつくる「これからの学び舎」のカタチ ―
学校運営協議会が設置されることで、学校と地域が「どんな子どもを育てたいか」という目標を共有することができ、学校運営のあり方を語り合う作戦会議の場ができたことは、学校にとっても地域にとっても大きな転換点になると思います。
しかし、どれほど素晴らしいビジョンを共有しても、それを現場で動かす「実行部隊」がいなければ、教育の現場は変わりません。
実際には、担当の先生方が主導して企画を考え、地域で協力できる方を募り、手伝ってもらうというやり方をとっているケースが少なくありません。
つまり、学校から地域にお願いし、地域が学校を手伝うという一方向の関係に留まっているのです。
もちろん、ピンポイントの要件で、急に応援が必要になった場合などはやむを得ないかもしれませんが、ここには大きく2つの課題があると思っています。
それは
①先生方、あるいは学校と、お願いされた人との属人的な関係にとどまってしまい、継続性がないこと
②地域側が「お願いされたから手伝う」という受け身の姿勢であること
ということです。
これでは「地域に手伝ってもらう学校」「学校を手伝う地域」という関係性に留まってしまうのではないかという疑問が湧いてきます。
そこで、今回は、「開かれた学校づくり」に向けて、学校運営協議会と対をなす地域側の体制としての地域学校協働本部に焦点を当てることにします。
後述するように、学校運営協議会も地域学校協働本部も、地域と学校が協働による教育の実現を目指すことを目的につくられています。
また、それは同時に、これからの学校だけではなく、地域の未来そのものをつくることにつながっていると私は考えます。
学校運営協議会同様、地域学校協働本部を巡ってはさまざまな背景や動きがありますが、本稿では、私自身の問題意識を含めながら、その役割や今後の可能性について考えていきたいと思います。
2 地域学校協働本部の役割と期待

地域学校協働本部とは、地域住民や団体などが参画し、学校と地域が目標を共有しながら連携・協働して子どもの成長を支えるための実行体制のことです。
文部科学省が推進するコミュニティ・スクール(学校運営協議会)が学校運営の方針を固める作戦会議の場であるのに対し、地域学校協働本部は具体的な活動を動かす役割を担います。
似たような印象はありますが、学校運営協議会は地域の人が参加するものの、あくまで学校の仕組みであるのに対して、地域学校協働本部は地域側にある学校を支える仕組みであるという違いもあります。
両者はいわば「車の両輪」であり、これらが一体的に整備されることで、初めてその真価を発揮するものと捉えています。
地域学校協働本部の大きな役割・機能としては、以下の3つが挙げられます。
①コーディネート機能
地域学校協働活動推進員などのコーディネーターが中心となり、学校のニーズと地域の教育資源(知識やスキルを持った人材、歴史、文化、自然環境など)をマッチングする
②多様な活動への関わり
教育活動への関わりだけでなく、放課後対策、登下校の見守り、防災、地域行事など、地域全体で学校や子どもを支える活動を行う
③継続的な活動が可能
特定の個人に頼るのではなく、組織として体制を整えることで、担当先生方や地域関係者の一人が異動(移動)しても活動が途切れない仕組みを維持できる
地域学校協働本部がこれらの3つの役割や機能を発揮することで、これまでは学校からの「お願い」を待つだけだったり、学校の言われるままに「手伝う」だけだったりする地域住民が、パートナーとして対等に向き合えるようになることが期待されています。
また、先ほど「学校を支える」という表現を使いましたが、実際には地域学校協働本部は学校を支えると同時に、学校が地域を支えるという側面もあり、これらは相互補完関係と捉えるのが理想形だと考えています。
3 地域学校協働本部によってもたらされる地域(住民)への影響

前回(第11回)の連載では、コミュニティ・スクール導入によって、学校・生徒、児童生徒にそれぞれ以下のようなメリットが挙げられるということを述べました。
学校・先生にとってのメリット
① 学校課題を地域と共有できる
② 学校の理解者・応援者が増える
③ 先生が本来の仕事に集中しやすくなる
児童生徒にとってのメリット
① 多様な大人との出会いが生まれる
② 本物に触れる体験
③ 学校以外の居場所
それでは、地域学校協働本部が機能し、地域と学校の協働が実現することで、地域(住民)にとってどのような影響があるのでしょうか。
ここでは大きく以下の3つに分けて考えてみることにします。
① 地域の教育への関わりが自分ごとになる
単に学校のお手伝いをするだけではなく、自分たちが何ができるかを考えることで、地域で行われる教育の当事者へと意識が変わり、自分ごとになります。
学校からの依頼を待つのではなく、「こういうことができるのではないか」という提案を地域側から行うことも考えられます。
こうした相互のやり取りが積み重ねられることにより、地域の人材を発掘したり、育成したりすることにもつながり、ひいては地域づくりにもつながります。
② 生きがいと学び合いの創出
豊富な知識や高いスキルを持つ高齢者や経験者が、自分の好きや得意で子どもたちと関わることで、役割を持つことができ、仕事だけでない地域における生きがいを再発見することができます。
また、子どもに教えるというだけでなく、大人同士が教え合い、学び合う関係も醸成することができます。
③ 地域コミュニティの再構築
それまで接点のなかった地域の関係者が、地域の教育という共通目的のもとで混ざり合うことができます。
地域学校協働本部が結節点となり、地域の人同士のつながりが生まれ、地域コミュニティの再構築につながります。
上記に述べたような地域にとっての影響は、特定の個人に頼る属人的な関係性や「お願いされたから手伝う」という受け身の姿勢では生じることのないものだと思います。
地域学校協働本部という組織的な関わり、あるいは学校と地域の相互関係の下で行われる協働だからこそ生じるものといえます。
人によっては、「学校教育でそこまでする必要はないのでは」「そこまでやるのは大変そう」と思う方もいるかもしれません。
確かに学校では既にさまざまな教育が行われており、先生方では足りない場面を、学校からの依頼に基づいて地域がお手伝いすればいいのではという考え方もあるかもしれません。
ただ、学校や先生方ができることにも限界があります。
なによりも、地域には学校にない多様な人やモノなどの資源が豊富にあるのに、それを活かさないのは正直「もったいない!」と思ってしまうのです。
実は、私も最初からそこまで考えていたわけではありませんでした。
しかし、埼玉県が主催のコーディネーター研修会に参加して、学校と地域がお互いに学び合い、教育をつくり上げている事例を知りました。
「ここまでできるのか」
「もっとやっていいんだ」
と思うようになったのです。
埼玉県主催の地域学校協働活動推進研修「コーディネーター研修会」に参加しました(2026年5月26日)
4 地域学校協働本部の課題と可能性

これまで、地域学校協働本部にはどのような役割や機能があり、地域にどのような影響をもたらしうるかということを見てきました。
では、実際の地域の現場では、地域学校協働本部はどのくらい機能しているのでしょうか。
文部科学省による令和7年度の調査では、全国の公立学校におけるコミュニティ・スクールの導入率が64.9%であるのに対し、地域学校協働本部が設置されている割合は66.9%であるという結果が出ています。
つまり、わずかですが、地域学校協働本部の設置割合が高いということになります。
この数字だけを見れば、過半数を超えているので順調なのではと思えます。
ですが、正直、この数字を見たとき、私は非常に大きな違和感を抱きました。
なぜなら、7割近い公立学校で地域学校協働本部が設置されている(ことになっている)にもかかわらず、私はまったくそのことを知らなかったのです。
ただ単に私が無知なだけということも多分に考えられます。
が、それにしても住んでいる自治体にある地域学校協働本部(それも十数の単位)の存在をまったく見たことも耳にしたこともないというのは不思議でなりませんでした。
インターネットで調べたところでも、少なくとも私の地元の自治体の地域学校協働本部はホームページなどの情報は出てきませんでした。
(もしかすると広報紙などの紙媒体はあるのかもしれませんが)
この「存在自体を知られていないということ」が、もしかしたら現在の地域学校協働本部が抱える大きな課題かもしれないと感じたのです。
確かに、地域学校協働本部の仕組みによって、個人の属人的なネットワークによらない、組織として学校との協働が実現できる基盤が整ったのかもしれない。
けれど、その地域学校協働本部自体の認知が広がらなければ、特定の人たちだけがいつまでも頑張り続けるという状況は変わらないのではないか、ということです。
それでは、その人たちがいなくなってしまった途端に、活動が途絶えてしまうおそれがあります。
それでは結局のところ、地域学校協働本部があろうとなかろうと、継続性が担保できないことになってしまいます。
先に述べたように、地域学校協働本部は、地域における教育に活用できるリソースを提供するにとどまらず、地域づくりや地域コミュニティの再構築、子どもだけでなく大人同士の学び合いや生きがいの創出にもつながる大きな可能性があります。
また、学校における地域の関わり、地域における学校の関わりという双方向の関係構築にも寄与するものです。
その価値が最大化するためには、地域学校協働本部の取り組み自体を、地域に広く発信し、賛同し、応援し、参画してくれる仲間を増やしていく必要があるのではないでしょうか。
5 おわりに

今回は、コミュニティ・スクールと対をなす地域学校協働本部の役割と可能性に焦点を当ててきました。
そこで分かったことは、学校と地域の協働は、決して子どもの学びを充実させるためだけのものではないということです。
学校の先生方はもちろん、地域の大人たちにとっても、自分の経験や知識を生かすとともに、自らを見つめ直す最高の機会になります。
「自分の話を子どもたちが真剣に聞いてくれた」
「自分の持っていた特技が役に立ててうれしかった」
「地域に自分の居場所ができた」
そんな経験は、大人の生きがいや喜びへと直結します。
子どもたちにとっては、地域で頑張っている大人の姿を見たり、話をしたり、活動をともにするという体験は、どんな教材よりも最高の教科書になるはずです。
地域は、学校という場所に限らず、誰もが学び合い、成長し合える場になりうるものです。
そのようにして生まれる「地域教育」とは、子どもだけでなく、地域の子どもと大人が学び合い、育ち合うプロセスそのものだと確信しています。
これが、私の描く「サード・ラーニング」の一つの形でもあるのかもしれません。
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これまでの連載
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【連載】「サード・ラーニング」のすすめ(実践編):第10回 「完売御礼」に学びはあるか ― 起業体験がただの「商売ごっこ」に終わるとき ―
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【連載】「サード・ラーニング」のすすめ:第9回 自分で決める力を育てる教育としての「アントレプレナーシップ教育」 — 育てたいのは「起業家」なのか —
第8回
【連載】「サード・ラーニング」のすすめ:第8回 プロジェクトの後に何が残るのか? ——「やりっぱなし」のPBLから脱却するために
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【連載】「サード・ラーニング」のすすめ:第7回 プロジェクトは教科書を超えるのか? ~経験からの学び~
第6回
【連載】「サード・ラーニング」のすすめ:第6回 伴走者を超えて「共に創る」 ~ 「第2回弥生祭」での実践から ~
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【連載】「サード・ラーニング」のすすめ:第5回「社会」が求める探究と「自分」のための探究 ~ 私たちにとって「探究」とは何か ~
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【連載】「サード・ラーニング」のすすめ:第4回 「いきあたりばっちり」を育む学びの土壌とは? 〜 キタサカまちづくり部を例に 〜(実践編02)
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【連載】「サード・ラーニング」のすすめ:第3回 学びの「地図」をアップデートする ~ 「学び」の変遷からサード・ラーニングのヒントを探る ~
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第1回
「【連載】「サード・ラーニング」のすすめ」をスタートしました(2026年1月15日)
番外編
【連載:番外編】「サード・ラー二ング」のすすめ:参考書籍①『学びのコミュニティづくり』|風間崇志/地域プロジェクトパートナー
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