まなびしごとLABの風間です。
こんにちは!

2026年7月24日(金)、連載「『サード・ラーニング』のすすめ」の第14回「学びを共創するコーディネーター ~ なぜ学校・地域・企業をつなぐ『第3の当事者』が必要なのか ~」をnote上で公開しました。

今年から始めた連載企画の第14回です。

noteで公開中ですが、こちらにも転載していきます。

(noteへのリンク)
【連載】「サード・ラーニング」のすすめ|風間崇志/地域プロジェクトパートナー|note

1 はじめに

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「地域の人を紹介してもらえませんか?」

地域と学校、企業、行政などをつなぐ活動をしていると、こうした相談を受けることがよくあります。

また、活動内容を説明すると、「人と人をつなぐお仕事なんですね」と言われることもあります。

もちろん、間違いではありません。
人と人との出会いをつくることは、コーディネーターにとって大切な役割の一つです。
しかし、活動を続ける中で、私は少しずつ違う思いを持つようになりました。
それは、ただ人を紹介するだけでは、本当の意味で価値は生まれないのではないかということです。

例えば、「この分野に詳しい人に話を聞きたい」と相談されたとします。
それに対して、地域のことをよく知っている人を探して紹介すれば、それでよいのでしょうか。
また、その分野に詳しければ、相手がどんな人であってもいいのでしょうか。

相手が信頼できる人物であるのは当然として、私はほかにも以下のことに気を付けるようにしています。

その人がどんな思いで関わろうとしているのか。
初めて出会う人と対話しながら、一緒に新しいものをつくっていけるのか。
相手の考えを受け止め、自分自身も変化しながら関われるのか。
そして、その出会いが関わるすべての人にとって、成長や新しい挑戦につながるものになるのか。

それが、私なりのコーディネーターとしてのこだわりかもしれません。

学校と地域の連携でも、同じことがいえます。

学校には、子どもたちの成長を支える先生たちがいます。
一方で、地域には長年培ってきた経験や技術、そこに暮らす人だからこそ知っている魅力があります。
また、企業には、社会で活用されている知識や技術、働く人たちの経験があります。

それぞれが持っている力は、単独でも大きな可能性を秘めています。
しかし、その力は、お互いに出会うことでさらに大きな価値を生み出すことができます。

ただ出会えばよいわけではなく、お互いの思いや目的を理解し、「一緒に何かをつくってみたい」と思える関係が生まれることが大切だと思っています。

ただ誰かと誰かをつなげるのではなく、誰と誰が出会えば、新しい可能性が生まれるのか。
それを考え、出会いの場をつくり、その後の関係を育てていくことがコーディネーターの仕事ではないか。
そう考えるようになりました。

また、コーディネーターの仕事として、よく「調整役」ということがいわれます。
これも一言でいえば「調整」ですが、意味するところはさまざまです。

ただ傍観するのではなく、時には、企画を一緒に考えたり、課題を整理したり、関係者と対話しながら活動の方向性をつくったりすることもあります。

そんなことを考えているうちに、「第3の当事者」という言葉が思い浮かんできました。

今回は、私のこれまでの実践を振り返りながら、特に学校と地域・企業との連携に焦点を当て、コーディネーターとは何者なのか、その役割や専門性について考えていきますと思います。

2 コーディネーターとは何をする人か

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コーディネーターという言葉を聞くと、どのようなイメージを持つでしょうか。

一般的には、「人と人をつなぐ人」「間に入って調整する人」「必要な人を紹介してくれる人」などのようなイメージを持つのではないでしょうか。

確かに、コーディネーターの仕事には、人と人をつなぐ役割があります。
また、現場で期待されていることも、少なくとも表面上は人とのつながりだといえるでしょう。

しかし、重要なのは、「誰かを紹介してほしい」という依頼の奥にある、本当の目的ではないかと思います。

例えば、学校から「地域で働いている人に話を聞きたい」という相談があったとします。
この言葉だけを見ると、「地域で働いている人を探して紹介する」という仕事に見えます。

しかし、なぜ、その人に話を聞く必要があるのか、子どもたちにどんな学びを届けたいのか、その出会いによってどんな変化を生み出したいのかといった目的によって、必要な出会いが変わってきます。

同じ地域で働く人であっても、経験や考え方、子どもたちとの関わり方によって、生まれる学びは大きく変わるからです。

一方で、私としても、ただ人を紹介して終わるのでは「もったいない」といつも思ってしまいます。
お願いされたことに単発で応えるだけでは、その場限りの出会いに終わってしまうことが多いからです。

こういうプロジェクトにしてしまえば、お願いした側だけでなく、お願いされた側にとっても学びになるのにとか、そこからこういうことができるのにと、いつもウズウズしているのです笑

そのため、必然的に、そういった関わり方の可能性を含めて、楽しんでもらえる人をおつなぎするようにしています。

つまり、私がここでやっていることというのは、ただ人を探すことではなく、出会うことによって新たに生まれる可能性をつくるということなのではないかということが見えてきました。

その人が持つ知識やスキルはそれ自体が貴重な資源ですが、それ以上に、異なる経験を持つ人同士が出会い、対話することで生まれるかもしれない価値に、大きな魅力を感じるのです。

この場合、探しているのは、条件に合う人ではありません。

一緒に未来をつくることのできる(可能性がある)人です。

そのため、この人は何ができるのかということだけではなく、この人と誰かが出会ったら、どんな可能性が生まれるのかという視点を大切にしています。

こうしたまだ見えていない可能性を探すことは、コーディネーターとしての重要な役割であり、醍醐味であると考えています。

そして、もう一つ大切なことがあります。

コーディネーターの仕事は、人を紹介したら終わるわけではありません。
本当に大切なのは、出会った後にどのような関わり方をつくるかです。

一般的には調整役として、外部から関わるというやり方が多いように思えますが、私の場合は、活動が始まるまでの準備を支えたり、役割を整理したり、プロジェクトの方向性を一緒に考えたりすることもありますし、必要であれば、プロジェクトの一員として実際に活動を担うこともあります。
ファシリテーターでもあり、プロジェクトマネージャーのようでもあり、事務局のような存在でもあります。

そのため、私はコーディネーターを単なる調整役とは捉えておらず、出会った人同士が、お互いの考えを理解し、一緒に活動をつくっていくための主体になりうる存在だと考えています。

ここまでのことをまとめると、コーディネーターとは、人と人が出会うことで新しい価値が生まれる環境をつくる人だといえます。

3 なぜ協働にコーディネーターが必要なのか

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次に、少し視点を変えて、なぜ今、学校と地域の協働においてコーディネーターが必要とされているのかを考えていきます。

学校と地域が協力することの大切さは、多くの人が感じるようになってきており、学校側も地域側も連携したい気持ちは同様のようです。

しかし、それでも思うように協働が進んでいないのが実情です。

どちらも子どもたちや地域をよりよくしたいという思いは同じでも、具体的な協働につなげるためには、間に立って関係をつくる役割、つまりコーディネート機能が重要になると、これまでの経験から感じています。

例えば、学校の先生が地域と連携した授業を考えてみましょう。

地域の人に協力してもらいたいと思っても、まず誰にお願いすればよいのかわからないという問題が生じます。
多くの場合、どうするかというと、ほかの先生方や知り合いをたどって探すことになります。
しかし、その方法では、先生個人の人脈や経験に頼ることになり、仮に一度うまくいってもいつまでも自分で抱えていなくてはならなくなります。
そのため、その先生が異動すると、そのつながりが途切れてしまうおそれがあります。

また、協力してくれる人が見つかったとしても、授業の目的をどう共有するか、地域の人にどんな役割をお願いするか、子どもたちの学びにつながる活動にするにはどうすればよいか、そのためにいつ、どのような段取りをすればいいか、などの調整を行う必要があります。

これらをすべて先生が担うことになると、本来大切にしたい子どもたちへの指導に十分な時間を使えなくなるなってしまいます。
その結果、そんな大変なことになるくらいなら、いっそ自分でやった方がいいということになるのです。

一方で、地域の人も、先生方との慣れないやりとりがストレスとなったり、企業としても学校の文化や言語との違いにとまどうことが少なくありません。
また、個別に直接やりとりをすることで、いざというとき(転居や異動、退職など)に引継ぎがされなかったり、つながりが切れてしまうというのは学校の先生と状況は同じです。

その間にコーディネーターが入ることで、
・調整の手間を省いたり、円滑に進めることができる
・属人化によるリスクを分散できる
といったメリットがあります。

また、コーディネーターが必要な理由は、関係者の負担を減らすためだけではありません。
私はもっと大きな理由があると考えています。

それは、まだ出会っていない可能性を発見するためです。

地域には、学校がまだ知らない人や経験があります。
学校にも、地域がまだ知らない子どもたちの興味や可能性があります。
企業にも、社会で培ってきた技術や知恵があります。

それぞれ単独でももちろんすばらしい資源ですが、それらが出会うことでより大きな価値が生まれるのではないかということです。

それには、地域や企業の人が学校を応援する、学校が地域や企業の力を借りるという一方向の関係ではなく、それぞれの力を持ち寄って、一緒に新しい価値をつくる共創関係をつくる必要があると考えます。

関係者同士の1対1だと、下手をすると対立構造になってしまったり、お互いに言いたいことがハッキリ言えないということが起こってしまいがちですが、第三者が介在することでうまく目線を同じ方向(未来)に向け、共創関係を築きやすくなります。

まさにその共創関係をつくるのが、コーディネーターの最大の役割ではないかと私は考えています。

第4章 正解ではなく、「組み合わせ」を考える

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コーディネーターとしてのご相談を受けるとき、私が探すのは、一緒に未来をつくることのできる(可能性がある)人ということを第2章で述べました。

このとき、「こういう人を紹介してもらいたい」の「こういう」の部分をあまりダイレクトに捉えすぎないようにしています。

もちろん、ピンポイントに当てはまる知人がいないということもありますが、少しずれているかもしれないけど、この人とだったらもっとおもしろいことが起きうる人をご紹介することが多いです。

お願いする側が望むことを叶えるだけではなく、お願いされた側にとっても、刺激のある経験や学びになり、将来の糧になるような組み合わせを考えることを大事にしているからです。
そして、それが私にとってのやりたいことにもつながっています。
つまりは、お願いする側・お願いされる側・私がWIN-WIN-WINになるという一石三鳥を実現できるのが組み合わせの力といえます。

大切なのは、その学校、その地域、その人だからこそ生まれる組み合わせを考えることです。

地域資源という言葉がありますが、地域にある人、企業、自然、文化などの単独の資源だけでなく、組み合わせも大切な資源になりうると私は考えています。

一人ひとりが持つ力ももちろん価値があります。
しかし、異なる人や組織同士が出会い、それぞれの強みが重なり合うことでそれ以上の力を発揮することができるからです。

新しい学びも、新しいプロジェクトも、その組み合わせから生まれます。
大げさにいえば、イノベーションともいえるかもしれません。

だから私は、「誰か」よりも、「誰と誰が出会えば、どんな未来が生まれるか」を考えます。

コーディネーターの仕事は、目の前の課題を解決することだけではありません。
次の挑戦につながるかもしれない出会いをつくることも大切な役割だと思います。

そのためには、ときには調整役として関わるだけでなく、ときには一緒に考え、自らもプロジェクトの一員として一緒に動くことが必要です。

役割を固定化せず、その場にとって何が必要かを考えながら関わること。
それが、私が地域でのコーディネーター活動で大切にしている姿勢です。

第5章 おわりに

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ここまで、私自身の実践を振り返りながら、コーディネーターという仕事について考えてきました。

改めて感じるのは、コーディネーターとはただ単に人を紹介したり、つないだりする人ではないということです。

学校や地域、企業など、それぞれが持つ思いや強みを理解し、新しい出会いを生み出す。
その出会いから新しい学びやプロジェクトが育つように、ときには調整役となり、ときには一緒に考え、ときには自らもプロジェクトの一員として関わる。
関係者間の潤滑油であり、自らもそのパーツの一部になることが、コーディネーターの役割なのだと思います。

人と話すことが得意だから、顔が広いから、地域に詳しいから、そうしたスキルや素質は大きな強みですが、コーディネーターに求められる能力はそれだけではありません。
(むしろ、私などは口下手な方ですし、人見知りな性格だと自覚しているくらいです)

どんな人とどんな人が出会えば、新しい可能性が生まれるのか。
どのような関わり方をすれば、お互いの力を引き出せるのか。
そして、その出会いを一度きりで終わらせず、次の挑戦へとつなげていくには何が必要なのか。
コーディネーターは、そうしたことを考え続ける仕事だと考えます。

コーディネーターという仕事の価値は、人をつないだ数ではありません。
新しい挑戦が生まれ続ける地域を育てられるかどうか。
その積み重ねこそが、コーディネーターの本当の価値であり、専門性なのだと、私は考えています。

コーディネーターを単なる「肩書き」として捉えるのではなく、一つの専門性として考えることが、本稿の目的でもあります。

では、その専門性とは、どのような力なのでしょうか。

人と人をつなぐ力
プロジェクトを進める力
地域のことを考える力

もちろん、それらも大切な力です。
しかし、私が実践を通してたどり着いたのは、学校の立場でもあり、地域の立場でもあり、企業の立場でもあり、そして、同時にそのいずれでもない立場で、積極的な第三者としての立場で関わる「第3の当事者」としての在り方です。

次回は、この「第3の当事者」という考え方を手がかりに、コーディネーターに求められる専門性について、もう一歩深く考えてみたいと思います。

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これまでの連載

第13回
連載「サード・ラーニングのすすめ」:第13回「地域と学校の協働を生み出すための処方箋とは ~ 子どもの居場所づくり共有会の事例から ~」

第12回
連載「サード・ラーニングのすすめ」:第12回 「お願いする」から「協働する」関係へ(地域編)~ 地域学校協働本部が生み出す双方向の学びの実現に向けて ~

第11回
【連載】「サード・ラーニング」のすすめ:第11回 「開かれた学校」のその先へ(学校編) ― 地域とともにつくる「これからの学び舎」のカタチ ―

第10回
【連載】「サード・ラーニング」のすすめ(実践編):第10回 「完売御礼」に学びはあるか  ― 起業体験がただの「商売ごっこ」に終わるとき ―

第9回
【連載】「サード・ラーニング」のすすめ:第9回 自分で決める力を育てる教育としての「アントレプレナーシップ教育」  — 育てたいのは「起業家」なのか —

第8回
【連載】「サード・ラーニング」のすすめ:第8回 プロジェクトの後に何が残るのか? ——「やりっぱなし」のPBLから脱却するために

第7回
【連載】「サード・ラーニング」のすすめ:第7回 プロジェクトは教科書を超えるのか? ~経験からの学び~

第6回
【連載】「サード・ラーニング」のすすめ:第6回 伴走者を超えて「共に創る」  ~ 「第2回弥生祭」での実践から ~

第5回
【連載】「サード・ラーニング」のすすめ:第5回「社会」が求める探究と「自分」のための探究 ~ 私たちにとって「探究」とは何か ~

第4回
【連載】「サード・ラーニング」のすすめ:第4回 「いきあたりばっちり」を育む学びの土壌とは? 〜 キタサカまちづくり部を例に 〜(実践編02)

第3回
【連載】「サード・ラーニング」のすすめ:第3回 学びの「地図」をアップデートする ~ 「学び」の変遷からサード・ラーニングのヒントを探る ~

第2回
【連載】「サード・ラーニング」のすすめ:第2回 共創による学びを俯瞰する ~ 地域連携プロジェクトから紐解く「学びの生態系」のヒント ~

第1回
「【連載】「サード・ラーニング」のすすめ」をスタートしました(2026年1月15日)

番外編
【連載:番外編】「サード・ラー二ング」のすすめ:参考書籍①『学びのコミュニティづくり』|風間崇志/地域プロジェクトパートナー

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