『ジェネレーター 学びと活動の生成』を読んだ。

創造社会における学びの支援者の役割は、「他人事ではなく、自分事として、本気で参加すること。その参加のなかに、つくることへの貢献があり、交流があり、学び合いが生じるのだ」

この一節にジェネレーターの特徴が凝縮されている。

ジェネレーターは、よくファシリテーターと比較されることが多いが、両者の違いは以下のように説明されている。

ファシリテーターは、何かに取り組んでいる人たちの「外側」にいて支援したり伴走したりするのであるが、「ジェネレーター」は、一緒にその取り組みのプロセスの「内側」(中)に入り、ともに活動する

私のしごとのスタイルも、どちらかというとファシリテーターよりもジェネレーターとしての方が魅力を感じる。

ファシリテーターだとどうしても形式ばってしまう。

共につくることを楽しむのは、まさに私が掲げている「地域で共にしごとをつくる」に通じる考え方。

教える・教えられる一方通行の関係ではなく、当事者としての学び合い。

あくまで、一探究者であり続けたいですね。

以下、本書で気になる個所をまとメモとして書き出し。

まとメモ

はじめに

・「ジェネレート」とは「生成する」ということです。「生成する」のは、「生きている」ということに他なりません。私たちは「生きている」限り、何かを「生成」し続けています。その「自然」なあり方に沿って、考え、行動することが、新たに何かをつくりだすための原動力になります

・「なんとなく変だなあ」「気になる」「面白そう!」、そういう感覚で、モノ・コト・ヒトを追いかけて探索し続けていくーそんな生き方が「ジェネレーター」のあり方です

「ジェネレーター」はいろいろな「雑」を集めて、記録しようとする「雑」のアーカイバーと呼べる存在です。さらに集まった「雑」を「仲間」と共有することを楽しむ「雑」のコラボレーターでもあります。雑を集め、雑談し、雑記し続けることを愚直に積み重ねるのです。こうして培われた知のネットワークが「ジェネレーター」の礎となり、偶発的に出「遇」う事象を見逃さない芽が育ち、こうしたら面白くなるのではという反応力を高めるのです

第1部 ジェネレーターの誕生
Epsode01 生成

・「ジェネレーター」とは何かをわかりやすく言うと、一緒に参加して盛り上がりをつくる人だ。ファシリテーター的な役割としてみんなを巻き込んで盛り上げてゆくが、自分も参加者であるところが最大の特徴と言ってよいだろう

・ファシリテーターは、何かに取り組んでいる人たちの「外側」にいて支援したり伴走したりするのであるが、「ジェネレーター」は、一緒にその取り組みのプロセスの「内側」(中)に入り、ともに活動する

・ジェネレーターは、まさに、この創造社会において重要な役割を担う。社会の変化に連動して学びのかたち、教育のかたちが変わるため、教師の役割の重点も変わっていく。創造的な時代における学び・教育には、ジェネレーターが欠かせないのである

・つくることによる学びの時代においては、学びの支援者は、ともにつくることに取り組む。もはや、他人事ではなく、自分事として、本気で参加する。その参加のなかに、つくることへの貢献があり、交流があり、学び合いが生じるのだ。創造社会における「つくることによる学び」を支援するジェネレーターは、ともにつくり、学び合う。これこそが、これからの時代の学びの支援者(教師、親、関係する大人)の役割である

・自分も一緒にやっているのだから、出し惜しみせず、自分の持ち込めるものはすべて入れ込んで、そこからさらに先に一緒に行く、という感じで、場に没入するあり方が、ジェネレーターシップである

Epsode03 創造社会

・創造社会は、一人ひとりが、使うものや考え方、やり方、あり方を自分(たち)でつくる社会だ。これは、ある面では、ポジティブなことであり、一人ひとりの力が発揮されるとともに、自分たちに合ったものや考えを生み出すことができるということである。一人ひとりが自分の生をいきいきと生きることにつながる。
他方、創造社会は、一人ひとりが、自身の創造性を発揮して生きていかねばならぬ時代でもある。そうしなければ、生き抜けない(サバイバルできない)という厳しい状況でもあるのである

変容していく・みんながそれぞれ自分のやりたい範囲、やれる範囲でつくり始め、コラボレーションすると、チームでのコラボレーションだけではなく社会的なコラボレーションが可能になってくる。・・・こうした共創社会があちこちで立ち上がるようになって、社会問題を解決し、ともにあたらしいかたちを生み出す創造社会への変容していく。・・・このときにジェネレーターは、つくるコラボレーションを促進する役割として社会的にとても重要になってくるのである

・とはいえ、いきなり自分の属する組織全体をジェネレートするのは難しい。・・・組織の流れを潤滑にすることは、「ファシリテーター」の役割であろう。ジェネレートする場面は、「大きく」「一気に」ではなく、「小さい」ながらも「じわじわ」とつくり続ける場と仲間をつくるところにある。ジェネレーターらしい場の盛り上げ方にふさわしいサイズを守るというのも大事なことと言えよう

第2部 ジェネレーターの役割
Epsode04 なりゆきをつかむ

「ジェネレーター」とは結局、自分自身をジェネレートすることがカギなのだ。そのことによって参加者がジェネレートされる。ジェネレーター自身が面白がっていると、周りの人も何となく楽しく、面白くなってくる

・ジェネレーターシップを発揮している人の3つのふるまい
 ①やってみないとわからない状況で一歩踏み出す
 ②「つら楽しく面倒なプロセスを面白くしようとすること
 ③みんなで試し続け、作り直して発見を積み重ねること

Epsode05 中動態

・ジェネレーターシップとは、出来事・物事が生成することに参加し、(主客・自他の境界を溶かし、あいまいにしながら)そこで起きていることをよく見・聴き・感じ・拾い上げ・その出来事の内側でその生成を担う一部となるということ、そして、世界へのそのような関わり方

Epsode06 場の力

・プロジェクトを進めるには、「一桁の人数(9名まで)」というのがよい。2、3人だと少なすぎて、5、6人がベストで、多くて8、9人まで

第3部 ジェネレーターの成長
Epsode07 なりきる

・ジェネレーターは、自分なりの面白ポイントで主観的に仮説や発見を「意味づけ」る。正しいか正しくないか、よいか悪いか、できているかできていないかという客観的評価はしない。見たこと、聞いたことをなんでも面白がるのは、面白くないのに、面白いふりをすることとは違う。あまり面白そうに見えなかったモノ・コトの自分なりの面白ポイントがみつかってしまうのが面白くてたまらないのである。それが「面白がる」ということだ

・ジェネレーターシップのある人と話をしていると、いろんな変化球が飛び出してくる面白さがある。それは「意味のとらえなおし」のベースとなる知識獲得、つまり、創造的になるための知識獲得を日々積み重ねた賜物だ。賢くなるためでも、理解を深めたりするためでもなく、創造的になり、わくわくして面白いことが思いつけるように、勉強し、読書する

Epsode09 仲間

・発見の拡張のプロセスは、発見のコラボレーションとリンクしている。コラボレーションとは、Discovery Expandingに伴う3つの「コ」が生み出す「Labo=実験」の場なのだ

・「個」Laboレーションから「弧」Laboレーションへ発展し、「Co」Laboレーションが生まれる流れは、My Discovery・Our Discovereryの拡張と連動している。こうした経験を積み重ねていくと、「個」Laboと「弧」Laboと「Co」Laboを自由に行き来して発見し、発想をふくらませられるようになる。そして、ジェネレーターとして知らず知らず動いてしまった自分に目覚め、ェネレーターと一緒に何かをつくる心地よさと面白さにはまり、ともにつくり続けるジェネレーターの「仲間」になってしまう

「コ」Laboはいつも心地よいわけではない。「コラボレイト」の語源は「コー+レイバー」で「ともに労働する」という意味である。Labo=ラボと呼ばれる実験室は、つら楽しくみんながつくって、活動しているところである。地道な作業を続けなければいけないし、うまくいかなかったり、やり直しもしょっちゅう。そんなつらいレイバーがベースであっても、ラボで実験している面白さがあるから、苦にならない

ともにジェネレートされ、「つら楽しい」プロセスを共有した「仲間」には間違いなくエンパシーが生まれる。そのエンパシーは、生き物が本来持つ好奇心センサーが作動し、発見をどんどん集め、さまざまなつながりをつくりだしては組みかえることを面白がる波動を共有している感じである。・・・この感覚は、自分と相手が消えて、中動態状態で参加し、本気で面白がって、没入したからこそ生まれると言える

・まずは同じ思いを持つ小さい仲間をつくり、実験的にチャレンジすることから始める。やれるところ、やりやすいところから始めて、ああこういうことかと実感し、感触をつかんで、経験を積むのがジェネレーターシップを自ら育てるための道だ

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