『自分のスキルをアップデートし続けるリスキリング』

こんにちは。
まなびしごとLABの風間です。

今回の本は『自分のスキルをアップデートし続けるリスキリング』

特に印象に残ったのは、リカレント教育とリスキリングの責任の所在。

リカレント教育は個人の要素が大きいのに対して、リスキリングでは(所属)企業の関わりが大きいのが特徴ということでした。

地域においては中小企業が多く、人口減少社会の人事戦略において、いかに人材を確保していくか、育成・定着を促していくかといった点で多くの課題を抱えていると感じます。

一般社団法人ときがわ社中で構想中の”比企のジンジ”ではそうした地域の中小企業の皆さまとともに、地域全体で人材を採用する、育成するというようなことができないかと考えていました。

”比企のジンジ” の実現に向けてたくさんのヒントを得ることができました。

本書の5エッセンス

まずは本書から印象に残った5つのエッセンスを抽出しました。

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これからの時代、誰もが身につけるべき最も重要なスキルは、自分自身を「リスキリング」するスキルそのものになる

⇒ リスキリングする内容も重要だが、リスキリングするスキルを身につけることそのものがこれからの時代には重要

リスキリングは、技術的失業を背景として、企業の生き残りをかけた変革ニーズに基づくものであるため、企業が従業員へリスキリング機会を提供し、実施責任は企業にある

⇒ リカレント教育とリスキリングの違い。リスキリング環境を整えるのは地域の中小企業にとって大きな負担。”比企のジンジ”で外部化・共有化できる可能性があるのでは。大学との連携、企業間でのリスキリングマッチングの可能性

先行き不安な世界情勢の中で、自分に成長機会を与えてくれる、ビジネスパーソンとして生き残っていけるスキルを習得する機会をもたらしてくれる会社に転職しようという流れが大きくなっている

⇒ 地域の中小企業においては、そのような機会を提供できる環境を整えられるかが、人材確保のカギになる

・リスキリングを進めていく上で忘れてはいけない視点が「キャリア自律」で・・・「働く個人が自らのキャリアを主体的に考え、自らのキャリアに責任を持ち、自らのキャリア形成に取り組んでいく状態のこと」を指す

⇒ 会社や人に言われたからではなく、自分で自分のことを考える、決めることができる。起業家精神との共通点

優秀なビジネスパーソンは、リスキリング環境の整っている企業を選択するようになります。そして、リスキリング機会を提供する企業に対しては感謝の気持ちを持ち、エンゲージメントも高くなり、企業への貢献度合いについても高くなる

⇒ 採用だけでなく、定着してもらうためにもリスキリング、キャリア形成支援に取り組む必要がある

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このほか、本書を読んで気になった場所をまとメモとして書き出していきます。

まとメモ

はじめに

・リスキリングは「新しいことを学び、新しいスキルを身につけ実践し、そして新しい業務や職業に就くこと」を指す

・これからの時代、誰もが身につけるべき最も重要なスキルは、自分自身を「リスキリング」するスキルそのものになる

第1章 なぜリスキリングする必要があるのか 

・リカレント教育においては、「学び直し」そのものが目的かつ、職業と関係ない学びも含むのに対し、リスキリングは新しい職業に就くことを目的としているため、職業に直結するスキル習得を指す

・リカレント教育は、個人の関心が原点であり、個人が自分の好きなことを学ぶ機会を探し、私的な活動ととして取り組むことが基本であるため、実施責任は個人にある

・リスキリングは、技術的失業を背景として、企業の生き残りをかけた変革ニーズに基づくものであるため、企業が従業員へリスキリング機会を提供し、実施責任は企業にある
⇒ リスキリング環境を整えるのは地域の中小企業にとって大きな負担。”比企のジンジ”で外部化・共有化できる可能性があるのでは大学との連携、他企業との連携によるリスキリングの可能性

・大退職時代の退職理由の3つの分類
①価値観の変化
②職場環境への不満
③個人のキャリアに関する不満

・大退職時代が起きている最大の理由は、従業員のエンゲージメントの著しい低下。その3大要因は「①成長機会がない」「②会社の目的との繋がりを感じられない」「③職場に大切な人間関係がない」
⇒ 地域の中小企業では社員数が少ないからこそ、職場の人間関係、地域の人間関係を築くことが重要

・先行き不安な世界情勢の中で、自分に成長機会を与えてくれる、ビジネスパーソンとして生き残っていけるスキルを習得する機会をもたらしてくれる会社に転職しようという流れが大きくなっている

・企業にとって最大のメリットは、採用コストと比較して、従業員へのリスキリングコストは1/6で済む(人事コンサルタント ジョシュ・パーシン氏)

・日本人が学ばない国民なのは、「学ぶ目的、ゴールを持ちづらい職業環境にある」「学んだ結果、良いことがある経験をしていない」からではないか
⇒ 地域全体で学びたくなる環境、学べる環境をつくることができないか

・リスキリングは、会社の新しい方向性に合わせて必要となる能力開発となるため「仕事の一環」、すなわち就業時間内に行う「業務」となる
⇒ 中小企業にとっては多大な負担になる

・(オンライン講座などで)従業員の自主性に任せたやり方には3つの問題点
①人材の社外流出を促進する
②日常業務に追われほとんどの人はオンライン講座を使用せずに放置する
③新しい業務や配置転換がない場合、学んだことを忘れる

第2章 リスキリングするスキル

・新卒で社会人になって以来、自らの意思で意識的に知識やスキルを学ばずとも、OJTなどで学びを提供してきた日本企業の文化そのものが、ベテラン中高年社員のリスキリングを難しくしている一因

「自分の得意業務@必要とされている場所×新しいテクノロジー」を見つけることによって、自分のスキルの評価に加えてさらにリスキリングする機会を得られる

・リターンシップ。育児や兵役、病気による休職等、一定期間キャリアを中断した後に、再び職場に戻ることを希望する人々を支援するインターンシップ(Indeed社)

第3章 リスキリングを実践する10のプロセス 

・トラブルシューティングは、「知らないことを学ぶ絶好の機会」

・MOOCsの特徴である、self-paced(自分のペース)で学習できることが、逆に学習意欲を維持できず、途中で受講をやめてしまい、低い修了率になる結果を招いた。同じ時期に仲間と一緒に参加して、励まし合いながら一定期間のオンライン講座を毎週のようにライブで受講するCBCs(Cohort-Based Courses)に注目が集まっている

第4章 リスキリングと「スキルベース採用」の時代の到来 

・(①将来必要となるスキル)ー(②現在保有するスキル)=(③スキルギャップ)
③のスキルギャップを埋めていくプロセスが「リスキリング」

・2030年に必要となるスキル(マイケル・オズボーン教授らの論文、”The Future of Slills: Employment in 2030″)
1位 Learning Strategies(学習戦略)
2位 Psychology(心理学)
3位 Insructing(指導力)
4位 Social Perceptiveness(社会的洞察力)
5位 Sociology and Anthropology(社会学と人類学)
6位 Education and Training(教育訓練)
7位 Coordination(調整力)
8位 Originality(独創性)
9位 Fluency of Idea(思考の流暢さ)
10位 Active Learining(能動的学習)

・自分の現在の得意なスキルを起点に、目指す新しい職務との類似性を見出し、新しい環境でのリスキリングを進めていく。そうした類似性を持ったスキルのことを「Similar Skills(類似スキル)」と言う

第5章 リスキリングによるキャリアアップと人材の流動化

・リスキリングを進めていく上で忘れてはいけない視点が「キャリア自律」で・・・「働く個人が自らのキャリアを主体的に考え、自らのキャリアに責任を持ち、自らのキャリア形成に取り組んでいく状態のこと」を指す

・リスキリングによってスキルを習得させ、希望部署への配属を可能にする社内の人材流動性を高め、そして、リスキリングに取り組む優秀な社員の社外流出を防ぎ、人材の定着率を向上させる、こうした好循環を実現できるようになる

・優秀なビジネスパーソンは、リスキリング環境の整っている企業を選択するようになります。そして、リスキリング機会を提供する企業に対しては感謝の気持ちを持ち、エンゲージメントも高くなり、企業への貢献度合いについても高くなる
⇒ 採用だけでなく、定着してもらうためにもリスキリング、キャリア形成支援に取り組む必要がある

・これからは採用の条件等の中で「リスキリング経験があること」が重要視されてくるのではと思われる理由としての、リスキリングを成功させたビジネスパーソンの7つの傾向
①未来志向の考え方
②変化への適応力
③キャリアオーナーシップ
④学習能力
⑤継続力
⑥ストレス耐性
⑦目標達成能力

・リスキリングは、やりたい・やりたくないの議論ではなく、雇用を維持し、成長していくためにマストなのです。・・・リスキリングして自分の価値を上げなければ、ビジネスパーソンとして会社から解雇されたり、失業したりする危険性が高まる

第六章 AIやロボットが同僚になる新たな時代に向けて

・これからの働き方、リスキリングの方向性を考える上で避けて通れない分野、それがグリーン分野です。デジタル同様、すべての業界、すべての職種に就く人たちにこれから必ず大きく関わってきます。(=「グリーン・リスキリング」)

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