『日本一学生が集まる中小企業の秘密』

こんにちは。
まなびしごとLABの風間です。

本日ご紹介する本は、『日本一学生が集まる中小企業の秘密』(近藤悦康 著)という本。

私が理事を務めている一般社団法人ときがわ社中の事業として、”比企のジンジ”という地域に特化した人事部機能を担う事業を構想中であり、その参考とするために購入した本です。

本書は、人材採用・育成コンサルティング会社である株式会社Legaseed(レガシード)の代表取締役 近藤悦康氏の著書です。

Legaseed社は、楽天が運営する口コミ就職情報サイトRakutenみん就において、2019年卒のインターン人気企業ランキングで32位に位置付けられました。
これは中小企業部門では堂々の第1位、人材業界部門でも第1位なんだそうです。

Legaseed社の謳い文句は「日本一学生が集まる中小企業」。
中小企業がどのようにしたら、入社希望者が殺到するようになるか、内定辞退者や早期離職者が減るかという人材採用・育成・定着に関するノウハウが書き綴られています。

ここにさらに「地域」(さらにいえば「比企地域」)という要素を掛け合わせることで、”比企のジンジ”のイメージが見えてくるかもしれないという期待がありました。

本書の5エッセンス

まずは本書から印象に残った5つのエッセンスを抽出します。

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新卒採用プロジェクトというのは、単に優秀な新卒学生を採用することだけを目的としているわけではありません。新卒採用活動を通して、会社組織全体をイノベートすることを目的としているのです。
 優秀な人材を採用するためには、自社が魅力的な会社にならなければなりません。そのために、自社は現在どのような状況にあるのか、これからどのようになろうとしているのか、そのためにどのような組織を作っていかなければならないのか、そして、そのためにはどのような人材が必要なのか、といったことを、学生たちやそのご家族に、明確に示す必要があります

⇒ 社員の採用そのものではなく、会社の成長につながる人材を獲得し、人材と共に会社が成長することが目的

採用活動とは、人を多く集めることではありません。その会社が求めていない人材が100人集まるよりも、求める人材が3人来てくれることを目指すのです

⇒ より多くではなく、求める人材に来てもらうことを目指す

採用の成功とは、「定着化×戦力化」が達成できて初めて成功といえる

⇒ 採用+定着+育成をセットで考える必要がある

自動巻人財となる人は、会社の歯車になるのはつまらないと感じる傾向がある。その点、中小企業であれば、既に完成した組織の歯車を求めているのではなく、これから5年後、10年後にこんな会社を創りたいので、一緒に目指してみないか!といった呼びかけができます。
・・・そのため、自動巻人財を集めやすく採用しやすいのは、大企業より中小企業だといえる

⇒ 人材とともに成長を目指す企業である(になる)ことが求められる

採用力=企業ブランド×人財戦略(人事制度)×採用活動

採用活動=求人プロモーション×採用プロセス設計×採用チーム

 地域の採用力=〔地域ブランド×地域人財戦略(人事制度)×地域採用活動〕×〔企業ブランド×人財戦略(人事制度)×採用活動〕

⇒ 地域の採用活動=〔地域の求人プロモーション×地域の採用プロセス設計×地域の採用チーム〕×〔(企業の)求人プロモーション×(企業の)採用プロセス設計×(企業の)採用チーム〕

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その他、本書で気になった個所をまとメモとして以下に書き留めます。

まとメモ

プロローグ

・新卒の中でも優秀な人材ほど、既にできあがった規模や知名度にぶら下がることよりも、自分が理想とする企業を自らの手で創り上げてみたい、という選択をすることがある

・売り手市場では、つい人材採用に妥協をしてしまいがちですが、新卒一人を採用するということは、3億円の投資をすること
(3億円≒新卒から40年間、会社が支給する給与・福利厚生・教育費、保険、税金負担の合計)

・後で育てるからとりあえず採用しておこうという考えを一切持たず、自社の将来の成長のビジョンを共有できる人材を採用する

・経営者は、事業戦略や販売戦略、資金計画など様々なことに思いを巡らせなければなりません。しかし、これからの時代に最も注力しなければならないのは「人財戦略」なのです。新たな商品やサービスを生み出し、新たな事業を展開することで顧客満足を創造できるのは、優秀な人材にほかなりません。人材こそが、企業の差別化の要となります

・中小企業においては、経営者は新卒採用を人材担当に任せきりにしてはいけません。中小企業における新卒採用は、経営者自らがリーダーとなり、新卒採用チームを率いて活動する必要があります
 ⇒ 地域の中小企業では、人材担当という専門的な部署・人材がおらず、経営者が自ら採用を担っている企業も多い

・(入社3年目の20代中盤から30代前半の中から若手エースは、)説明会や面談などで、学生たちの少し先を歩いている先輩として、仕事や働き方、社風などについて伝えやすい立場にいます。それは、彼らが学生たちにとって、入社後の自分たちの姿を想像させやすい存在だからです

・新卒採用プロジェクトというのは、単に優秀な新卒学生を採用することだけを目的としているわけではありません。新卒採用活動を通して、会社組織全体をイノベートすることを目的としているのです。
 優秀な人材を採用するためには、自社が魅力的な会社にならなければなりません。そのために、自社は現在どのような状況にあるのか、これからどのようになろうとしているのか、そのためにどのような組織を作っていかなければならないのか、そして、そのためにはどのような人材が必要なのか、といったことを、学生たちやそのご家族に、明確に示す必要があります

序章 なぜ、あなたの会社は、デキル人材が集まらないのか?

・人柄だけで採用しても、教育で人材を育てることはとても困難です。・・・どの仕事のためにどのような能力がある人材を採用すべきかということを明確にしておく必要があります。つまり、求める人材の人物像について明文化できていなければなりません
→ 「属性」 住んでいる場所、通っている学校・学部・学科、食属している組織団体
  「嗜好性」 会社を選ぶ基準
  「関心事」 どのような興味を持っているか、どのような活動をしているかなど

・採用活動とは、人を多く集めることではありません。その会社が求めていない人材が100人集まるよりも、求める人材が3人来てくれることを目指すのです

・新卒を100人以上採用する規模の企業であれば、就職サイトにお金を掛けることも必要になってきますが、採用人数が10人以下という企業の場合は、大手就職サイトに頼らない学生との出会い方を検討すべき

・2013年のリクナビの掲載企業数は6242社、マイナビは5700社。2019年度にはそれぞれ3万社を超えている。このような大手就職サイトから自社を探し出してもらえる可能性はかなり低い

・学生たちは大手企業の説明会や選考会に行っても、良かったとか満足したとか、あるいは楽しかったという体験をしていません。ここでもし、学生たちが「参加して良かった」と価値を感じられる説明会や選考会を企画し、しかも学生たちに仕事の内容や魅力を実感してもらえる体験を提供できたら、学生たちの間で注目されるのではないだろうか

第1章「集まらない、活躍しない、続かない」が会社の悩みのタネ

・優秀な人材は、放っておけば優秀であるがゆえに大手企業に採用されていきますが、実のところ、それでは面白くないとも感じているのです。大手企業の歯車になって、自分の能力や才能を封印してしまうよりも、小さくとも自分の能力や才能しだいで企業と共に成長できる場を見つけることができれば、そちらのほうがエキサイティングだと感じるスイッチが入る

・「そんな手間のかかることを学生に強いたら辞退されてしまう」
 そのように思われるかもしれませんが、それは誤りです。簡単にとれた内定ほど、簡単に辞退されてしまいます。努力して勝ち取った内定であれば、簡単には手放しません。ここまで頑張ったのだから、この次も頑張ろう、と思うものなのです

・企業が内定を出すと、その時点で学生が優位に立つことになります。学生と五分五分の立場で関係を維持し続けるためには、あわてて内定を出してはいけません

・新卒採用というのは、欠員ができたからと穴埋めのためにあわてて行うようなものではなく、3年後、5年後、あるいは10年後の会社や組織のあり方を見据えて、そこから逆算して、いつどのような人材が何人必要なのかという視点から計画しなければなりません

・採用活動は、毎年イノベーションさせなければならない

・近年のような売り手市場が加速している状況では、応募者数を増やすことよりも、会社説明会に来た学生の動機づけを高める施策に重点を置きます。
 また、就活サイトや合同説明会などのマス型の広告媒体よりも、欲しい人材をピンポイントで集めることができるイベントやスカウト、人材紹介を活用したほうが効果的

・採用の成功とは、「定着化×戦力化」が達成できて初めて成功といえる

・長期のインターンシップに参加したいという学生は増加傾向にあります。今まで学生たちは、入学すると学内で部活やサークルに入ることを検討していましたが、近年では同じような感覚で、自分の経験値を積むために長期に参加できる企業のインターンシップを探し始めているのです。
 彼・彼女らは、企業のインターンシップに参加することで、社会でも通用する実力を高めたり、社会人とのコミュニティに参加したり、同世代の意識の高い人たちとつながることに価値を感じ始めています。すなわち、学生のうちから人材としての価値を高めようとしているわけです

・採用活動というと、私たちは人材を「選ぶ」という発想になりがちです。しかし現在は既に、人材から「選ばれる」企業を目指す発想に切り替えていかなければならない時代

第2章 「ニワトリ」が先か「タマゴ」が先か!?

・中小企業は大企業のように、新人の教育に半年も1年もかけることができない・・・採用すべき人材は「自動巻人財」。自動巻人財とは、時計の自動巻きのように、仕事をしながらも自ら求め、吸収し、考え、価値を創造する人材だといえます

・自動巻人財となる人は、会社の歯車になるのはつまらないと感じる傾向がある。その点、中小企業であれば、既に完成した組織の歯車を求めているのではなく、これから5年後、10年後にこんな会社を創りたいので、一緒に目指してみないか!といった呼びかけができます。
・・・そのため、自動巻人財を集めやすく採用しやすいのは、大企業より中小企業だといえる

・良い会社だから良い人材が来るのではなく、良い人材が来るから良い会社になる

・成長のチャンスを共有できる企業のほうが、志の高い人材にとっては魅力のある舞台だといえます。そのことをあぴーるすることができれば、中小企業でも優秀な人材を集めることができる

・日本にある約400万社のうち、社員を採用しているのは約250万社。うち新卒採用を行っているのはわずか10万社(0.04%)しかない

・経営者が新卒採用に感じているデメリット
 ①新卒は社会経験がなく即戦力になりにくい
 ②採用活動に労力がかかりマンパワーを割かなければならない
 ③すぐに入社してもらえない

・新卒採用の主なメリット
 ①新卒の人材は社会経験がない(まっさらな状態)
 ②中小企業でも大企業と同じ条件で採用することが可能(既に優秀な中途採用人材はスカウトが必要)
 ③計画的な採用を行える
 ④社内が変わる
 ⑤口コミの拡散が期待できる
 ⑥将来の見込み客作り

第3章 会社で活躍している人材を採用チームに抜擢しなさい!

・採用力=企業ブランド×人財戦略(人事制度)×採用活動
 ⇒ 地域の採用力=〔地域ブランド×地域人財戦略(人事制度)×地域採用活動〕×業ブランド×人財戦略(人事制度)×採用活動〕

・採用活動=求人プロモーション×採用プロセス設計×採用チーム
 ⇒ 地域の採用活動=〔地域の求人プロモーション×地域の採用プロセス設計×地域の採用チーム〕×〔(企業の)求人プロモーション×(企業の)採用プロセス設計×(企業の)採用チーム〕

・学生が入社を決める理由で最も多いのは、自分がやりたい仕事があるかどうかということですが、二番目は一緒に働きたいと思える社員がいる会社かどうか、そして三番目に、採用スタッフが魅力的かどうか
⇒ 地域の人事の場合、「その地域が魅力的かどうか」も理由になるか

・採用に関わるメンバーの魅力がなければ、優れた人材を採用する決め手にはならない

・採用チームの5つの役割
 ①採用担当者
 ②リクルーター
 ③オペレーター
 ④アセッサー
 ⑤クローザー
 ⇒ このうち一部の機能を地域の人事部に外部化できるか

第4章 広告だけに頼らない「人が集まる」マーケティング戦略

・採用人数が少ない会社は、マスマーケティングよりもピンポイントマーケティングを考えてください。たくさん人を集めることよりも、欲しい人材に会える確立を高めることのほうが重要なためです。・・・ピンポイントマーケティングを行うには、採用したい人材が自然に集まる場に行くか、そのような場を作ることが必要です

・学生がインターネット先を選ぶ条件には大きく2つある
 ①箔がつく
 ②プログラムの企画に興味がある

第6章 筆記試験と面接で見極めると「ミスマッチ」が起こる

・求める人材像を明確化するための5つのポイント
 ①採用する職種
 ②採用した人材にやってもらう仕事
 ③採用した人材に創り出してもらいたい具体的な成果
 ④その成果を作るためにはどんな困難や難しさが存在するか
 ⑤その困難や難しさを乗り越えて、成果を生み出せる人材とはどんな人材か

・自社で求める人材要件を満たす人材かどうかを判断できるような課題に取り組ませる選考プログラムを作ることが大切

・他社と入社を迷っている場合でも、どこかの段階で明確に一社に決めなければなりません。自社に入社を決めるのであれば、他社の選考を終了させ、親人も了承をもらったうえで、「この会社こそ自分が入るべき会社だ」という確信を持って決断してもらえることが理想です。そこまでの決意がある学生であれば、内定を辞退することは考えにくい

・働きやすい環境には、8つの「感覚」が組織の中に創られていることが必要
 ①経営者・上司との信頼感
 ②経営の方針・ビジョンへの共感
 ③仕事において役に立てているという貢献感
 ④この仲間と一緒に働きたいという一体感
 ⑤評価や昇給・昇格に対しての納得感
 ⑥自分や組織が年々成長しているという成長感
 ⑦仕事の範囲と報酬の増加による期待感
 ⑧家族のように大切にされているという安心感

第7章 究極の採用は、「採用活動をしない」こと

・採用活動を真剣に行うことで、会社の未来を真剣に考え、そこで改めて明確になったビジョンに向かって、社員の仕事に対する考え方や姿勢、会社の各種制度・環境、そして社員同士の関係性が改善されます

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