「教育」のあり方とは

今回はいつもとはちょっと違った本について書きたいと思います。

『バーバパパのがっこう』(アネット・チゾン、タラス・テイラー作)

絵本好きな方ならご存じのバーバパパシリーズです。
バーバパパシリーズは環境問題などをはじめ風刺的な内容が特徴で、大人も読んでいて考えさせられることが多いです。

その中でもこの絵本はテーマが「教育」で、特に学校での教育に焦点が当てられています。

私は昨年3月に起業してから、学校教育を含めた地域での教育ということに関心を持ち、ときがわ町の小中学校でICT支援員を務めたり、子どもや大人も一緒になった学びの場づくりがしたいと考えています。
そんなこともあってこの絵本はすごく印象に残りました。

奥書を見ると、1976年6月に第1刷が発行され、なんと2019年2月に第67刷として発行された本でした。
それだけ長く読み継がれてきたんですねー。

教育現場の問題点をズバリ指摘!

この絵本の中で、もっとも印象的なページがこちらです。

出典:『バーバパパのがっこう』

左の絵からいうと

・子どもが鞭で打たれそうになっている
・子どもたちが牢獄のような場所に閉じ込められている
・子どもたちが囚人のような服を着て奴隷のように働かされている

おおげさといえばおおげさかもしれませんが、しかし実際のところ、まさに子どもたちにとっては窮屈でがんじがらめで、逃げ場がなくなっているような環境もあることについては、認めざるをえないかと思います。

確かに必要最低限は大人が子どもたちに教えることが必要なものもあるでしょう。
でもすべての場面においてあらゆることを大人が子どもに与えたり、やらせたり、コントロールするのは「教育」とはいえないのではないか。

そこでバーバパパは

おんがくがすきなこどももいるし、とりやどうぶつがすきなこどももいます。そんなじぶんのだいすきなことをべんきょうするのなら、きっとよろこんでやりますよ

といって、自ら学校をつくることにしたのです。

そこでは子どもたちが、自分の興味関心に合わせて楽しく、先生(バーバパパたち)や友だちと一緒に遊びながら学んでいくシーンが描かれています。
先生たちは、教える教師でありながら、学習を手助けする役割である様子も読み取れます。

バーバリブは、こどもたちのやまごやづくりをてつだっています

一方で、命の危険があるような場面では、しっかりとやってはいけないことを教えています。

おいしそうなきのこでも、あぶないきのこがあるんだよ。とくにとてもきれいなきのこで、ものすごいどくのやつがあるんだ。・・・だからね、こどもだけできのこをとりにいってはぜったいにいけない。どれがたべられるきのこかよくしっているおとなといっしょでなければ。

そういえば、私の起業のお師匠様のお二人が出版した『対話側OJT』という本に、「仕事の3つの領域」のことが書いてありました。

仕事の3つの領域とは、

①一人でできること
②一人ではできないこと
③助けがあればできること

のことです。

これらを区分して考えることで仕事を任せやすくなり、任せられる仕事を増やすことが重要だといいます。

この本は会社における人材育成について書かれたものになりますが、広い意味での「教育」ととらえれば、まさに子どもにおける教育でもこの考え方を適用できるのではないかと思いました。

先生や大人は、その子が「一人でできること」「一人ではできないこと」「助けがあればできること」を見極め、その子に必要な支援をするということです。
当然、一人ひとりできることやできないことは違うので、画一的なやり方をしても効果は小さいとすぐ分かります。

小中学校の現場でも、新型コロナの影響でGIGAスクール構想によるICTの導入が進んでおり、1人1台のパソコンやタブレットが配布されれば一人でできることや助けがあればできることがどんどん広がってくるでしょう。

こうした変化に、まずは大人こそ対応していかなければならないのではないかと思います。
大人も子どもも学びながら成長できる、学び合いながら地域や社会を良くしていける。
そのような共創の場がつくれたらいいなあと思いました。

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以下は本書のまとメモです。
気になる部分を抜粋しています。

※本書の場合、すべてひらがなで書かれていますが、そのままだと読みづらいので一部を漢字表記になおしています。

まとメモ

・こどもは、たのしみながら勉強させてやらなくっちゃいけません

・音楽が好きなこどももいるし、鳥や動物が好きなこどももいます。そんな自分の大好きなことを勉強するのなら、きっと喜んでやりますよ

・おいしそうなキノコでも、危ないキノコがあるんだよ。特にとてもきれいなキノコで、ものすごい毒のやつがあるんだ。・・・だからね、こどもだけでキノコを採りに行っては絶対にいけない。どれが食べられるキノコかよく知っている大人と一緒でなければ。

・バーバリブは、こどもたちの山小屋づくりを手伝っています

・算数のクラスを手伝いに、最初の先生も戻ってきました。この先生も、バーバパパのやり方で、楽しく教えることに決めました。

・バーバパパはとても満足です。こどもたちは学校でたくさんのいろんなことを勉強しました。だけど何よりもすばらしいのは、みんなみんな楽しく幸せにやっているということです。