TOKIGAWA FACTORY活動の参考に林業を学ぶ

先日、ときがわ町の林業、木材活用の振興を目指した新たなチーム「TOKIGAWA FACTORY」が指導しました。

メンバーは、ときがわ町在住の青木達也さん(野あそび夫婦)、林業家兼薬剤師の岡本佳章さん、家業の製材所復活を目指す山口直さん、鳩山町にある学生シェアハウス「はとやまハウス」に住む2人の学生・小西隆仁さんと永田伊吹さん、それと私の6人です。

活動内容についてはまた別の機会に詳細にご紹介するとして、林業や木材活用を広げていきたいということで、キャッチコピーは

「1本の木を余すところなく使う」

ときがわ町の面積の約7割は山林ということで、これから林業や木材活用についても学んでいきます。

※本稿は『地域林業のすすめ』を読んで気づいたこと、感じたことの記録的な意味合いです。

本書を読んでの疑問、知りたい事

国内、ときがわ町に関して知りたいことをざっくりメモ

・木材の流通構造
・木材の生産量、消費量
・木材の用途、種類
・林業の現状(林業家、製材所、木工所などのプレーヤー、森林組合の役割など)
・森林の所有者、境界などの確定状況

まとメモ

・林業は、社会が要請している森林の多面的機能の裏付けとして、革新的かつ科学的な知見に基づいて定義された森林経営とみなされている。
 森林を木材生産と災害保全のための資源としてではなく、生命の生息空間として、生物の多様性を有する場所として、人々のレクリエーションの空間として、環境保全機能の源として、質の高い飲み水の源泉として森林を認識しなければならない

はじめに

・林業・林産業とエネルギー資源供給の2形態
 ①大規模森林経営に大規模林産業と大手熱電共有プラントが連結する「世界標準輸出型木材産業」
 ②中小規模森林経営に地元林産業と地域熱供給プラントが連結する「地域循環型木材産業」

・地域林業とは、工夫と創造の森林施業を実践し、自然資源の多様性と使用価値を高める資源創出型経営を進め、これを通じて林家の経済的自立の追求と、地域の環境保全や社会の質の向上に貢献する林業

第3章

・200ha未満の小規模山林所有者の面積割合は50%、200ha以上の大規模山林所有者は20%、連邦林が15%(2014年)

・私有林では、5ha未満が全所有者の46%、20ha未満で85%、50ha未満で95%に達する

・私有林の大多数の小規模林業経営は、大部分が家族的労働に支えられ、親子2代以上にわたって経営されている

・自伐林家である場合、自前の機械装備は生産規模に応じて保有され、高額な機械を購入できない場合は、共有サービスを利用するケースも多い

・自伐と他の林家からの受託によって生計を立てているケースもある

・天然更新については、決まった方法はなく、自然で一番大事なことは、いろいろな樹齢があること、いろいろな樹種があること

・日本は戦後の拡大造林で多様な樹種の森林を皆伐し植林してしまったが、母樹が生育しているところでは天然更新をしている。重要なのは森林の状態を把握し、どういう林業機械と森林技術を採用し、生態的な特徴をつかむか

・日本の林業にとって大切なステップは、戦後の拡大造林によって大規模に増えた一斉林を、どういう森林に再更新するかであろう。拡大造林後からほとんど手を入れなかった林分がたくさんある。次世代の誘導に関して、日本はそれほど経験が積みあがっていない。だから誰か、勇気のある、元気のいい隣家なり、事業体がいろんなモデルを始めるのが良い。試しに誘導試験を行い、どこまでできるのか、できないのかを見極めなくてはならない。日本で天然更新の誘導手法というものを誰かが始める必要がある

 ⇒ 地域ごとに環境や樹種など諸条件が異なるならば、 日本全体といわず、まず地域で誰かが始めなければならない

・オーストリアの林産業の構成(2017年)
  生産額 78億7,000万ユーロ
  木材加工事業体 1350か所(うち1019事業体は製材所)

・オーストリアの木質資源量(2017年)
  全木質資源量 2,340万㎥
  → うち経済活動に供されたもの 2,060万㎥
  → うち木材チップ 290万㎥
      薪材 260万㎥
      紙・パルプ等の産業用丸太 270万㎥ 
  → 輸入丸太等を含めて1,960万㎥が製材工場に
  → 製材工場から
    樹皮 220万㎥
    海外輸出 560万㎥
    製品 420万㎥
    端材等の副産物 760万㎥

出典『地域林業のすすめ』

・地域における持続性のある林業は守られなければならない。また地域外に地元の剤を売るのは、地域林業の持続性が担保されてないことを意味する。大きな製材工場はグローバルに商売をすればいい。小さいな製材工場の存在意義は別のところにある。そのためにも持続性のある社会を支える消費者や子どもたちの教育が必要である

・この製材工場で生産されたツィルベンオイルは、不純物のない100%アロマオイルである。センブラマツの幹はもちろん、その他の端材、カンナ屑、枝や葉をオイル原料にしている。ピュアなツィルベンオイルは、150kgのチップを7~8時間蒸留しておよそ200ml採れる。これくらいの小規模な生産量でも、自家発電しているからこそ経済的に成り立っている。オイルが抽出されたチップのかすは、燃料用や公園の敷材として一層積当たり約20ユーロで売っている。結局ゴミは一切出ない工程となっている

→ こうした複合経営や地域材の付加価値化とカスケード利用は地域の小規模製材工場の生き残り策

⇒ 「1本の木を余すところなく使う」

4章

・オーストリア国内の17万2,000企業で使用される木材の約8割が材料に、残りの2割は熱及びエネルギー供給に使用されている

⇒ ときがわ町の渡邉町長によると、建材としては3割くらいでマグロのトロのようなもの、残りの7割は燃料
  数字が逆転している理由は何か?
  仮説として、径が小さいため、木材として使用できる部位が少ないのでは?(いわゆる芯持ち材としてしか使えないため)

5章

・カウナグラート自然公園を設立した地域の農林家のビジョンは、自然保護、農林業、観光の共存に基づくもので、必ずしも自然保護だけを対象にしていない。彼らにとって重要な命題は、主に農林業によって維持されているアルムと森林、農村集落と牧草地のモザイク状の土地利用によって作り出された地域の自然文化景観を、地域生態系の中で農林業を営みながら維持管理していくための選択肢を探ることである

・カウナグラート自然公園は自然と人の人文的な営みが共存した「多様性を守り、利用する」方針に基づいて運営されている

 ⇒ 日本の里山文化も同じような考え方が理想ではないか
   保護のための保護ではなく、日常の営みの中で維持、再生産され、循環していく状態

7章

・木質バイオマスは特に熱エネルギー供給において主要なエネルギー原料となっている

・バイオマス系エネルギー資源の内訳は、木質チップ・おが屑34%、薪25%、黒液(パルプ製造過程で発生する有機廃液)13%で、木材を積極活用している

 ⇒ おが屑や有機廃液といった廃棄物を活用している点に特に注目する必要がある
   エネルギー確保を目的に木を伐っているわけではない

・バイオマス地域熱供給システムは何を目的にするのか、いろいろなエネルギーシステムを一つの高効率のシステムに高度化するのか、それとも地域活性化の一つのステップとして、バイオマスを地域の林家たちの収入源の一つにするのか。求めるものによって、地域がどちらの道を選ぶのか変わる

10章

・オーストリアは植えたら簡単に森林(やま)になるが、日本は植えただけでは雑山にしかならない

・高密度路網と林齢平準化に加え、早くから整備された森林情報(所有と協会の明確化)が、オーストリアの先進的な林業を支える基盤の大きな要素となっている

おわりに代えて

・森林の経済的・環境的・社会的機能を三位一体として、その仕組みをどう構築すべきか。それは地域内経済の自立的循環システムの構築の問題と結びつく。われわれが生きる上で必要とする基本物資は、海外に依存するのではなく、良質で安全なモノを、可能な限り自らの手で、安定的に供給することが基本である。そしてこれらの基本物資は自然環境を守り、命と暮らしを肌で感じる住民の生活領域で生み出されるべきである。そうした地域づくりが、今求められているのではないか

・国連ミレニアム生態系評価(2001~2005年)において、生態系サービスとは基盤サービス、調整サービス、文科的サービス、供給サービスの4つを指している。このうち供給サービスのみが自然資源を「獲得(自然から切り離し)」することによって得られるサービスであり、他の3つは自然資源が「そこに存在」することによって得られるサービスである