課題探求学習「T-GAP」で150人の生徒さんを対象にお話

筑波大学附属坂戸高校(以下、「筑坂高校」)の2年次では、課題発見・解決能力をのばすことを目標として、生徒さんたちがグループでソーシャル・アクションに取り組む「T-GAP」が必修となっています。

通常であれば地域外の外に飛び出したり、いろいろな人にあったりして探求学習を進めていきますが、コロナで活動範囲が限られる中で、坂戸市にいる身近な人材ということでご紹介をいただきました。

まだまだまだまだ私も道半ばで、本来なら偉そうに誰かに何かを語れる立場ではないことは重々承知しています。
ただ、こんな自分でも誰かのお役に立てるならと思ったのと、私自身も生徒さんたちから得るものがあると思い、お受けすることにしました。

ということで、2021年5月6日(木)に2年生の生徒さん約150人を前に、20分間のお話をする機会をいただきました。

とはいえコロナ禍ということもあり、Zoomによるオンライン授業。
150人を目の前にするわけではないということで若干気が楽になりました笑

ただ、オンラインだとどうしても反応が見えづらくなってしまうので、どうやってインタラクティブな時間にするかを考えていきました。

自分で「しごと」をつくるということ

「人生をジブンゴトに」というタイトルで、次の3つのことを中心にお話をしました。

① なぜ公務員を辞めたのか?
②「コロナのせいで」ではなく「コロナだからこそ」
③ 私がやろうとしていること

授業でお話した内容をここではダイジェストで書くことにします。

①なぜ公務員を辞めたのか?

きっかけは、次のような問いが頭から離れなくなったことでした。

「しごと」って何だろう?

一般的には「価値を提供することの対価としてお金をもらう行為」という回答が多いかと思います。
せっかくの機会なので、高校生の皆さんにも聞いてみました。

本来なら一人一人聞いてみたいところですが、時間の制約もあるのでMicrosoft Formsを使ってアンケート形式にして記入してもらいました。
日頃から授業で使っているということもあって、入力がスムーズで早いです!

回答いただいたものをテキストマイニングにかけた結果がこちら。

やはり「稼ぐ」というキーワードが一番多かったようです。
一方で、「社会貢献」とか「誰かのために」、「生きがい」というようなキーワードも見られました。

私は2018年に、ときがわ町で起業家育成に取り組むときがわカンパニー主催の「比企起業塾」に参加して、「しごと」には次の3つの要素があると考えるようになりました。

「私事」 ジブンゴト。つまり自分で選択したしごとであること
「仕事」 価値の提供としてのしごと。価値を提供して、その対価としてお金をいただく行為
「志事」 好きとかやりがいとか情熱を感じられるしごと

このうちどれかということではなく、どれもが重要な「しごと」です。
自分の人生という一度しかない時間を使って仕事をするのであれば、これらが重なり合うような仕事をしたいと思いました。

そしてそれは人からやらされるのではなく、自分でしごとを作っていくということだと思い、私は起業という選択肢をとることにしました。

とはいえ、起業と聞くとすごくハードルの高いことのように感じるかもしれません。
私も最初はそうでした。

そこで私が比企起業塾で学んだのが、ミニ起業という方法です。
ミニ起業の特徴としては

・地域で小さくはじめて、大きくせずに、長く続ける
・少数でも付き合いたいと思えるお客さんをつくる
・自分と家族を大切にする
・他者も応援する

基本、ミニ起業は従業員を雇いませんので自分が全部決めることになりますが、全部を一人でやる必要はありません。
そのときに大切なのが仲間です。
自分一人ではできなくても、仲間の手を借りることでできることが広がります。
だから仲間も応援しますし、仲間から応援されるような存在でいたいと思っています。

私の話の前に生徒さんたちからの活動発表がありましたが、チームはもちろん、関係する団体や活動している人たちに積極的に連絡を取って、他者の力を借りて進めているのがすばらしいと思いました。
私が伝えるまでもなく、筑坂高校の生徒さんたちは既に実践していたんですね!

②「コロナのせいで」ではなく「コロナだからこそ」

よく「コロナのせいで●●できなくて辛い」という声もあります。
ただ、あえていうとコロナの脅威は誰にとっても同じです。
それを嘆くのではなく、どう変化に対応するかが大切だと思って活動してきました。

そんな中で、「コロナだからこそ」生まれてきた仕事や人との出会いも多くあります。
そのいくつかを紹介しました。

まず仕事でいうと、オンライン研修におけるZoomのオペレーター(デジタルファシリテーター)という仕事や小中学校でのICT導入を支援するICT支援員という仕事が生まれました。

次に出会いとしては、昨年4月の緊急事態宣言で本屋ときがわ町のリアルイベントが開催できなくなったとき、Zoomを使ってオンラインで開催したことでアメリカやスイスにいる人とリアルタイムでつながって話をするという機会が生まれました。

いずれもZoomに関することですが、それまではZoomという言葉すら知りませんでした。
それがいつの間にかZoomを使って仕事をしたり、人に教えたりすることまでやるようになりました。

今の時代はVUCAの時代、つまり変化が激しく先行きが不確実な時代といわれます。
そんな時代には変化にいかに対応するかが重要になってきます。

変化のないときに自ら変わることは難しいかもしれませんが、変化があったときは変わるチャンスではないかと思います。

ちなみにダーウィンはこのような言葉を残しています。(実際はダーウィンの言葉ではなく英国の研究者が論文の中で書いた言葉らしいですが)

生き残るのはもっとも強い者でも、最も賢い者でもない。変化に対応できる者だ。

③私がやろうとしていること

冒頭で、先日、坂戸市が開催したオンライン会議で、「10年後の坂戸市にどうなってほしいか」と問われたときの私の回答をお示ししました。

大人も子どもも夢を持てる、叶えられるまち

どうなってほしいかというより、自分がどうしたいかを回答したのがこの答えでした。

意図としては、子どもが夢を持ち、それを叶えるにはまず大人ができないとダメだということです。(当然、私自身も含め)
夢を持てるというのは、周りの人に夢を潰されない、つまりチャレンジできる環境ということです。
それには自分で自分を応援するし、他者のことも応援できないといけないなと。

夢というのはしごとと強く関係していると思います。
私が考える理想のしごとは、自分事で、誰かに価値を提供、好きで情熱を傾けられるもの。
そういう「しごと」をつくる人をたくさん創り出したい。
それが私のミッションにもなっています。

先日、高校生がなりたい職業ランキングを目にしました。
1位は看護師ということですが、「どんな看護師になりたいのか」、「看護師になって何がしたいのか」の方が重要だと思いました。

こういう自分の夢を表現する機会が、歳をとるにつれて少なくなっているのが気になります。
自分の頭で考えて、それを他の人に話したり外に出すということをしないと、なかなか具体化していきません。
逆に口に出すと、共感する人が現れたり、応援してくれる人が現れたりして実現が早まるという事例を、私は多く見てきましたし、私自身も経験してきました。

そこで高校生の皆さんにも聞いてみました。

「あなたの夢はなんですか?」

その結果をテキストマイニングしたのがこちらです。

「就く」が最も大きくなっています。
職業に就くことなんだと思いますが、「発展途上国」という言葉もあったり「寄り添う」という言葉も大きくなっていることがわかります。

筑坂高校のT-GAPのように、自ら課題を設定し、取り組む中でより自分の夢が明確になっていくのではないかと思います。
これからが楽しみですね!

私も頑張ります!

最後に

自分の人生は自分が決める

これは私自身も常に意識していることで、よく自分の子どもにいっています。(たぶん子どもはよく分かっていないと思いますが・・・)

なにかというと誰かのいうことを聞いてそのとおりにやるだけだと、失敗したときに「●●が言ったから」とか「●●のせい」と他人を責める気持ちになってしまいます。

人の話を聞くということは大事なんですけど、それは参考であって、最後は自分が決めなければいけないなと。
それが一番大切なことだとしごとを通じて学んでいます。

生徒さんからの質問もいただきました

授業の最後で少し時間があったので、その場でいくつかには回答しましたが、改めてこちらでも回答を残します。
(後で思いついたこともあるので、追加しました。)

Q.筑波大学はどこの学類にいましたか?

第二学群・比較文化学類で日本研究をやっていました。
大学院でも日本研究(民俗学)に所属していました。

Q.顧客を獲得するために自分の仕事を広めることがあると思いますが、どのようにして発信したのですか?

個人のWEBサイトや各種SNSでも発信していましたが、基本は人からの紹介です。
自分から「巻き込まれにいく」ということもやっていました。

1年目は「断らない」と決めていたので、やりたいことに100%合致しなくても、まずは信頼されるために成果を出すことを心掛けていました。

あとは人にやりたいことを話していると、共感する人や応援してくれる人が現れます。

その結果として、仕事が広がっていきました。

Q.本気で社長になりたいと思った時、やっぱり色々な人に手伝って貰うことは必要ですか?風間さんはどんな人に手伝って貰いましたか?

一人で全部をやろうとすると苦しくなるので、程度の差はあれ、誰かの手伝いは必要だと思います。

私ももちろんいろんな人に手伝ってもらいました。
仕事を依頼してくれるお客さんもそうですし、一緒に仕事をする仲間もいました。

「人を選ぶ」というと表現はマズいかもしれませんが、「信頼できる相手」「付き合いたい相手」を選ぶことを大切にしています。

Q.やりたいことをはっきりさせる良い方法はなにかありますか?

今ですと、いろんな自己分析ツールやワークシートがあるので自分で取り組む方法がお手軽です。
「やりたくないこと」を考えてみるのも一つの手段です。

あとは周囲の人に話してみるのも有効です。
話しているうちに頭の中が整理されることはよくあります。

友達に限らず、「この人なら!」と信頼できる人にどんどん話してみるといいと思います。

Q.コロナ禍で起業することに不安などはなかったのでしょうか。また、起業で失敗しないようにとった対策などが有れば教えてください。

不安がなかったといえば嘘になります。
起業したときにはそれだけで食べていける仕事の見込みがなかったのは事実です。

ただ一定の貯えはありましたし、1年目は断らずにどんどんチャンスに飛び込んでいくことで結果的に仕事が広がりました。
応援してくれる人が周りにいたというのは非常にありがたかったです。

「失敗しないようにとった対策」ということですが、純粋な「失敗」はないと思っています。
あるのはチャレンジした結果として「うまくいったか」「いかなかったか」の経験。
うまくいかなかった場合に、じゃあどうすればいいのかを考えることで次への改善につながるという発想です。

失敗は絶対起こるので、その時にどう対応するかでしょうか。
あとは、しないでいい失敗をしないために、事前に潰せるものは潰しておきます。

Q.企業にあたって大変だったこと。また確定申告など、企業に関しての詳しい内容が知りたい。

一番は時間の管理です。
プライベートと仕事の時間がうまく切り替えられませんでした。(今もそうですが)

いい面もありますが、よくない面もありました。
家族との時間がおざなりになったことも。
自宅で仕事をすることが多いので、このへんは課題です。

確定申告に関しては簿記をやっていたので、「えいや」と覚悟を決めて取り掛かればできました。
苦手なことは他の人に頼んでしまってもいいと思います。

起業で一番大切なことは「お客さんをつくること」だと学びましたし、私もそう思います。
しごとでなければ好きなことをやっていればいいのですが、それでお金をもらおうとするならばお客さんが望んでいることと自分がやりたいことを近づけていく必要があります。

ほかにも大切なことはもちろんありますが、ここでその話をすると長くなるので、もっと話が聞きたいということであれば先生方にリクエストしていただければ次の機会もあるかもしれません笑

Q.本屋の活動がとても気になりました。ときがわカンパニーのhpを観覧しました。本が大好きなので、本を楽しめる町にしたいというコンセプトにとてもひかれました。学校とは関係なく自分の趣味に近いのですが、自分も何かしてみたいと強く思いました。

ありがとうございます!
ぜひお待ちしています。
毎月第3日曜日に開催していますので、よろしければぜひ一度遊びに来てください。
出店も可能です。

Q.どのように資金を集めましたか?

「小さくはじめる」が基本でしたので、ほとんど開業のための資金はかかりませんでした。
ホームページの開設(開設時4万円、サーバ代1万円くらい)と新しいパソコン(20万弱)を買ったこと、Zoomの有料アカウント(2万円強)くらいでした。

ある程度の蓄えはありましたが、どちらかというと生活資金の意味合いです。
共働きでしたので貯金したり、退職時の退職金もありました。

融資や出資は使っていません。

充実の時間となりました

最初はかなり緊張しましたが、充実した時間を過ごすことができました。

本来でしたら直接お話をする時間をもっと取りたかったのですが、今回は時間の都合上、一方的な話が多くなってしまいました。
また機会がありましたら、また参加してみたいですね。

T-GAP担当の先生の皆さま、この度はありがとうございました!
生徒の皆さんもありがとうございました!

またお会いできることを楽しみにしています!!!