『縮充する日本 「参加」が創り出す人口減少社会の希望』

こんにちは。
まなびしごとLABの風間です。

今回ご紹介する本は、山崎亮さんの『縮充する日本 「参加」が創り出す人口減少社会の希望』

大好きな山崎亮さんの本であることと、「楽しさ」と「未来」とを結びつけるしくみが「参加」というフレーズに興味を惹かれてチョイス。

取り組んでいる事業において「楽しさ」の要素を追加することは、一緒にしごとをする仲間やお客さまづくりにもつながってくると思います。

一方的にこちらが「与える」のではなく、私が意識している「一緒につくる=共創」をつくり出すためのヒントにもなりました。

もちろんしごとだけでなく、まちづくりや地域づくりの活動においても、「参加」を意識することは今後ますます大切になりますね。

本書の5エッセンス

まずは本書から印象に残った5つのエッセンスを抽出しました。

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日本の未来を考えるとき、僕はしばしば「縮充」という言葉を使う。本来は繊維の加工に関する用語だが、人口や税収が縮小しながらも地域の営みや住民の生活が充実したものになっていくしくみを僕らは編み出さなければならない時期を迎えている。そのしくみこそが、これからの日本のサイズに合った衣装であり、衣装を仕立てるために不可欠な力が市民の「参加」だと感じている

⇒ これまでの日本社会は、人口増加を前提として各種制度や仕組みがつくられてきた。これからは人口減少を前提としたやり方を考える必要がある。どちらが良い・悪いではなく、そのときそのときの状況にあったやり方をつくる必要があるということ。

強制参加ではなく、自由参加を前提とする未来という意味で、僕は「楽しさなくして参加なし」という表現も使った。「楽しさなくして参加なし」であり、「参加なくして未来なし」である。これらを縮めて言えば、「楽しさなくして未来なし」ということになる。つまり、「楽しさ」と「未来」とを結びつけるしくみが「参加」だということになる

「楽しさ」は、僕らが求める参加型社会の重要なキーワードになる。「正しい」だけでは仲間は増えない。どんなに立派な取組でも、つまらなければ長続きはしない。活動することに、美しさ、可愛さ、かっこよさといった「楽しさ」を見出せてこそ、参加は市民にとって社会を変革する有効な方法となり得る。その意味で、「楽しさなくして未来なし」だと感じるのである

⇒ 正しさだけでは人は動かない。「正しさ+楽しさ」。
 「~しなければならない」よりも、「~したい」の方が前に向かうエネルギーが大きい。

アレントは人間の生産的な行為を「労働」「仕事」「活動」の三つに分類した。消えていく価値(お金)を得るためにやるのは「労働」。モノとして残る価値をつくるのは「仕事」。お金のためではなく、モノを残すためでもなく、自ら主体的にやりたいと感じ、そこに他者が何らかの価値を見出せる行為を「活動」と位置づけた。そして、「活動」に重きが置かれてこそ、豊かな社会はつくられるとアレントは論じている

⇒ 「活動」=自分ごととしての「しごと」。しごとをする人が地域に増えれば、豊かな・幸せな地域になる。

「この人と一緒にやりたい」と相手に思ってもらえること。「これを一緒にやろう」と自分から働きかけていくこと。コミュニケーションの技術や、共感を得る力や、責任感や、道徳心など、いろいろな能力が関わってくる。・・・高い専門性と同じくらい、ひょっとしたらそれ以上に、「一緒に何かをやりたい」と相手に思わせる力が協働の時代には求められてくる

⇒ やりたいしごとの要素として、「この人と一緒に何かやりたい」という気持ちは一番大きいと感じる。「この人と一緒にやりたい」と思われるような人になるには、どんなことが必要か?

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このほか、本書を読んで気になった場所をまとメモとして書き出していきます。

まとメモ

序章 なぜいま「参加の時代」なのか

・人類が歴史と文明の中で築いてきた制度や価値観は、体の大きさに合わせて仕立てた衣装のようなもの(カーライル『衣裳哲学』)

・日本の未来を考えるとき、僕はしばしば「縮充」という言葉を使う。本来は繊維の加工に関する用語だが、人口や税収が縮小しながらも地域の営みや住民の生活が充実したものになっていくしくみを僕らは編み出さなければならない時期を迎えている。そのしくみこそが、これからの日本のサイズに合った衣装であり、衣装を仕立てるために不可欠な力が市民の「参加」だと感じている

・強制参加ではなく、自由参加を前提とする未来という意味で、僕は「楽しさなくして参加なし」という表現も使った。「楽しさなくして参加なし」であり、「参加なくして未来なし」である。これらを縮めて言えば、「楽しさなくして未来なし」ということになる。つまり、「楽しさ」と「未来」とを結びつけるしくみが「参加」だということになる

・経済と道徳をセットで考えられるのは、仕事に携わっている人たちだ。その時間は人生の中で10万時間しかない。地域において、その倍の時間が使われているのは、地域に関わる可能性のある20万時間である。・・・経済的成果を目的としない趣味や地域活動は、参加者が自分のペースで取り組め、失敗が損失に直結するものではない。むしろ、地域活動では仕事で求められる価値観が障害になることすらある

・わたくしごとを「わたしたちごと」へと変えていくのが公共の概念になる。ところが、「わたしたちごと」が日本では「みんなのこと」になってしまったように感じる。・・・「みんなのこと」は他人事の延長であり、「誰のものでもない」という印象さえ受ける。そんな施設やサービスに慣らされたことで、公共とは「国や自治体が提供するもの」という認識が持たれるようになったのではないだろうか

・「楽しさ」は、僕らが求める参加型社会の重要なキーワードになる。「正しい」だけでは仲間は増えない。どんなに立派な取組でも、つまらなければ長続きはしない。活動することに、美しさ、可愛さ、かっこよさといった「楽しさ」を見出せてこそ、参加は市民にとって社会を変革する有効な方法となり得る。その意味で、「楽しさなくして未来なし」だと感じるのである

第1章 コミュニティデザインと「参加」は表裏一体だ

・自由度がないところには、楽しさも生まれない。自分の好みや意見を表すことができ、なおかつそれが受け入れられる環境があればこそ、参加したいという意欲は湧いてくる

・アレントは人間の生産的な行為を「労働」「仕事」「活動」の三つに分類した。消えていく価値(お金)を得るためにやるのは「労働」。モノとして残る価値をつくるのは「仕事」。お金のためではなく、モノを残すためでもなく、自ら主体的にやりたいと感じ、そこに他者が何らかの価値を見出せる行為を「活動」と位置づけた。そして、「活動」に重きが置かれてこそ、豊かな社会はつくられるとアレントは論じている

・「参加」には発展性がある。参加することの楽しさを知れば、「参画」する意欲が生まれる。他者がつくった計画に加わることは「参加」だが、計画の策定段階に自ら加わることは「参画」になる。「参画」の動きが活発な分野では、もっと高次元の減少が起こり得る。それが「協働」(コラボレーション)という活動である

第2章 国に頼り切るという時代の終わり

・住民の意見が反映されないまちづくり、言い換えれば、国や自治体や企業が主体となった都市計画がすすめられたことによって、経済効率や利便性はたしかに向上しただろう。だが、それと引き替えに失われるのは、まちのアイデンティティだけでなく、まちを豊かにしていこうとする住民の主体性なのだ

第9章 主体性を育む「アクティブラーニング」

・ラーニングピラミッドモデル
他の人に教える (平均学習定着率)90%
自ら体験する (平均学習定着率)75%
グループ討論 (平均学習定着率)50%
デモンストレーション (平均学習定着率)30%
視聴覚 (平均学習定着率)20%
読書 (平均学習定着率)10%
講義 (平均学習定着率)5%

・生徒にとって、先生や親とのつながりはタテの関係になる。友だち同士はヨコの関係だ。それに対して、地域の人たちとのつながりがナナメの関係になる。社会の一員として生きていくために必要な知恵は、タテをヨコの関係からだけでは得ることはできない。そこを補ってくれるのが、地域に住む人たちになる

終章 「縮充する日本」の未来図を描こう

・「この人と一緒にやりたい」と相手に思ってもらえること。「これを一緒にやろう」と自分から働きかけていくこと。コミュニケーションの技術や、共感を得る力や、責任感や、道徳心など、いろいろな能力が関わってくる。・・・高い専門性と同じくらい、ひょっとしたらそれ以上に、「一緒に何かをやりたい」と相手に思わせる力が協働の時代には求められてくる

・活動の質を高めることは、働き方をデザインすることと同義になる。質を高めるには、自分自身が絶えず学び続けていなければならない。だが、自分一人でなんでもやる必要はない。・・・自分にできないことは、できる人たちの力を借りる。自分にできることは、できない人たちのために使う。みんなで協力し合って働く関係が、「社会のためになること」と少しずつ重なりはじめれば、縮充の時代にどんな衣装が必要なのかが自ずと見えてくるに違いない

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